抄録 |
【背景】近年マウスにおいて肝再生促進に胆汁酸輸送および代謝が深く関与することが報告された.しかしながら肝再生促進時における輸送・代謝関連分子の発現変化や再生促進に関する詳細なメカニズムは不明である.商速液体クロマトグラフィー接続型タンデム質量分析装置(LC-MS/MS)によるタンパク質同時絶対定量法は生体試料申の標的タンパク質のトリプシン消化ペプチドを内標準法で定量する方法であり多くの分子の同時定量を可能にする【目的】胆汁酸を投与したマウスにおける胆汁酸輸送・代謝に関する各種トランスポーター・代謝酵素の変動をLC-MS/MSを用いて定量:的に評価し肝再生への関与について解明する.【方法19-10週齢雄マウスを用い標準試料に1%コール酸(w/w)を加えた餌を与えて胆汁酸投与群とした.採取した肝臓よりミクロソーム面分ならびに細胞膜細分を調整し輸送・代謝関連分子の発現をLC-MS/MSを用いて絶対定量した.1結果】胆汁酸投与群では有意な肝重量の増加およびk:i-67免疫染色による癌細胞の増殖を認めた.MrpBsepNtcpOatpCyp7a1など輸送・代謝関連分子22種目発現量を同時定量した.OatplOatp4NtcpCyp7a1Cyp8b1は胆汁酸投与群で有意に低下し胆汁酸合成に加え取り込みを低下させることで肝細胞に対し保護的な作用が生じていると考えられた.【考察】LC-MS/MSを応用することで胆汁酸代謝に関与する多くのトランスポーター・代謝酵素の絶対定量が可能となり複数因子間の関連性の評価多数の分子の経時的発現量の変化の解析が可能となるなど非常に有用な手法と考えられたまた肝臓に存在するトランスポーターおよび酵素の発現から肝臓の代謝・解毒能を予測評価することは周術期肝不全の予防治療にも有用であると考えられた. |