セッション情報 ミニシンポジウム5

術後腸管への内視鏡的アプローチを考慮した再建術式の検討

タイトル

MSY5-2 胃切除後の十二指腸観察が容易で残胃内腸液逆流防止再建法であるダブルトラクト法の有効性に関する検討

演者 宮地正彦(愛知医科大学消化器外科)
共同演者 清田義治(愛知医科大学消化器外科), 野浪敏明(愛知医科大学消化器外科)
抄録 【目的】幽門側胃切除後再建法で最多のBillroth 1(B-1)法は十二指腸への内視鏡挿入が容易だが胃食道逆流症が多く縫合不全の頻度がB-H法Roux-en-Y(RY)法より高い.しかしB-n法RY法では十二指腸への内視鏡挿入が困難である今回.はB-1法に残胃後壁を背側から食道を巻き込むように横隔膜脚に固定する簡便な胃食道逆流防止手技を加えたB-1変法さらにRY法の胃空腸吻合部から約13cmの空腸脚を十二指腸にも吻合し食物が十二指腸も通過し十二指腸への内視鏡観察が可能で残胃・食道内腸液逆流を予防しB-1法より縫合不全の少ないdouble tract(DT)再建法の有効性を検討した.【方法】胃癌に対し胃切除後従来のB-1H法で再建した75例逆流防止手技を加えたB-1変法41例ll変法25例DT法62例t RY法48例に対し逆流症状食道炎の有無経口摂取量体重減少について検討した.【結果】逆流症状と内視鏡的食道炎残胃炎の頻度:は従来群で37%19%60%B-I変群5%0%17%II変群4%0%12%DT群0%0%8%RY群0%0%5%であり逆流防止手技付加・再建法では従来群に比し有意に低率であった.術前の90%以上経口摂取可能例は従来群B-1変群B-H変法DT群、 RY群では68%61%31%63%44%でB)vfl<18、5の体重減少例は64%16%69%37%80%と食物が十二指腸を通過するB-1変群とDT群に経口摂取量が多く体重減少例が少なかった. DT群では全例十二指腸の内視鏡観察が可能であった。【結語】十二指腸観察が容易なB-1法に抗逆流手技を付加することで逆流症状を減少させ高頻度であった術後合併症を軽減し術後QOLが良好となった.ダブルトラクト法での再建は腸液の残寒食道内への逆流が少なく内視鏡での十二指腸観察が可能で経口摂取量が維持され体重減少が少なく.B一正法より術後QOLも良好であった.
索引用語