セッション情報 ミニシンポジウム6

消化管 残された課題

タイトル

MSY6-2 小腸出血の診断と治療

演者 矢野智則(自治医科大学内科学講座消化器内科学部門)
共同演者
抄録 小腸出血は消化管出血の5%程度を占めるといわれ.その解剖学的特徴から診断・治療が困難であったがダブルバルーン内視鏡(DBE)とカプセル内視鏡(CE)の登場によって大きく進歩した.その後tDBEの内視鏡先端のバルーンを省略したシングルバルーン内視鏡(SBE)も登場しDBEとSBEを総称してバルーン内視鏡(banoonassisted endoscopy l BAE)と呼ばれている.従来からの小腸造影腹部血管造影出血シンチグラフィCTMRIに加えてこれら新技術の長所と短所を熟知した上で使い分ければ安全かつ効率的に小腸出血の診断・治療を進められる.小腸出血の主な原因として血管性病変潰瘍性病変腫瘍性病変があげられる.これらのうち潰瘍性病変と腫瘍性病変についてはBAEを用いることで組織生検が可能になり正確な診断に基づいた内科的・外科的治療を選択できるようになった.血管性病変についてはBAEによる内視鏡治療の良い適応ではあるがその内視鏡像は多様で用語も統一されておらずtその治療方法の選択や知見を集積していくことが困難であった.我々が提唱している「小腸血管性病変の内視鏡分類」を用いれば.その内視鏡像か.ら病態を把握し適切な治療方法を選択できるほか内視鏡分類に基づいた記録を残せるため。知見を集積していける.小腸出血の原因病変のなかには非常に小さな病変や出血時でなければ同定困難な病変もあるため出血のエピソードから早めのタイミングでBAE検査を行うことが診断率の向上につながる.しかしBAEは大学病院や都市部の大病院の一部にしか普及しておらず出血から時間をおいて検査されているのが現状である.今後はBAEのさらなる普及に向けてその運用コストに見合った保険点数の算定が望まれる.
索引用語