セッション情報 ミニワークショップ

消化器診療における地域医療ネットワーク

タイトル

MW-2 島しょ医療機関からの救急症例にいかに連携し対応すべきか?

演者 藤澤信隆(都立広尾病院消化器内科)
共同演者 秋本恵子(都立広尾病院消化器内科), 小山茂(都立広尾病院消化器内科)
抄録 【背景】東京都の島しょ地域にはllの有人離島に28.000人の住民が暮らしている.当院は島しょ基幹病院として救急症例に日夜対応している.救急症例はヘリコプターや飛行艇などによる緊急航空機搬送症例や定期交通機関を利用して来院する症例がある.【目的・方法】救急症例の実態を検証しよりよい連携体制のあり方を検討するため2006年度から2010年度まで5年間の症例をretro-spectiveに集計し検討した.【結果】5年間に経験した救急症例は227例平均年齢は69歳で男性136例・女性91例だった.緊急航空機搬送例(緊急例)は130例定期交通機関利用例(定期例)は97例だった.多い疾患は消化管出血74例(33%緊急例60一定期例14)次いで急性胆管炎・胆嚢炎67例(30%緊急例34一定期例33)だった.急性膵炎17例肝膿瘍Il例がそれに続いていた.いずれの症例も搬送中に大きな容態変化はなく着院後は緊急止血やドレナージ等が適切に施行されていた.[消化管出血]上部57例中緊急例が52例だったが下部16例中緊急例は7例だった.31例(42%)で搬送前に内視鏡検査が施行され6例に内視鏡的止血術が施行されていた.うち24例(78%)の観察所見が着院後の検査と一致していた.他病死など4例を除きいずれも軽快退院された.[急性胆管炎・胆嚢炎コ急性胆管炎が46例で急性胆嚢炎が21例だった.重症11例中等症51例軽症5例だった.バイタルサインや検査値を現地初日時と着院時とで比較したところt白血球数以外は着院時の方が安定化もしくは改善していた.搬送前に54例(80%)で抗菌薬が投与され着院議の白血球数や容態が搬送前の抗菌藥使用状況に影響されていた.全例が軽快退院された.【考察】救急症例対応の.際は電話や画像伝送により事前運絡を密にして受け入れており今回の検討では搬送手品も適切で良好な結果だった現地医療機関での内視鏡検査や抗菌薬投与など搬送前治療のさらなる援助が今後の課題と考えられた.
索引用語