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消化器診療における地域医療ネットワーク

タイトル

MW-3 地域での炎症性腸疾患診療における専門医の重要性

演者
共同演者
抄録 【背景】本邦で潰蕩性大腸炎(UC)・クローン病(CD)の炎症性腸疾患(IBD)患者数の増加は著しい.さらに新しい免疫調節薬生物製剤などの登場により.医師にはそれらの薬剤・治療法を適切に使いこなす専門性が求められている.しかしながら患者数の増加と治療の高度化にも関わらず専門医の数は限られており。とくに地域診療ではIBDの専門医どころか消化器内科の専門医すら不在の状況で都市部での専門医による治療との格差が広がってきている偵的1地域医療におけるIBD診療において専.門医の存在意義を検証する【方法】いわゆる大都市圏に含まれない人口約70万の都市にありIBDは専門医のみが診察している大学病院(A病院)と入口約35万の都市にあり.IBD専門医が不在の大学病院(B病院)に外来通院中のIBD患者の同時期(2010年11月)における疾患活動性治療内容などを比較検討した【結果】外来通院中のIBD患者数はA病院255例(UC187例t CD68例)B病院74例(UC48例CD26例).患者の疾患活動性はA病院:寛解44例17%軽症187例74%中等症以上24例9%B病院:寛解17例23%軽症36例49%中等症以上21例28%でありB病院での病勢コントロールは有意に不良であった(pく0.0001). IBD治療ではステロイ.ド長期投与を避けるべきであるが経ロステnイドを6カ月以上継続投与されている患者はB病院で有意に多く(5%vs23%p〈O.OOO1)、一方寛解維持に有効なアザチオプリンなどの免疫調節薬の使用頻度はB病院で有意に少なかった(44%vs 13%p<O.OOOI).寛解でないにも関わらず5-ASA製剤を十分量投与されていない(Pentasa 3g/日未満Asacol 3。6g/日未満)UC患者もB病院で有意に多かった(22%vs52%p = OJCO31)1結論】地域医療におけるIBD診療では専門医不在だと大学病院といえども病勢のコントロールが不十分であり治療薬も有効・適切に使用されていなかった.BD患者の増加に地域で対処するためには専門医の配置育成が急務である.
索引用語