セッション情報 ミニワークショップ

消化器診療における地域医療ネットワーク

タイトル

MW-5 肝疾患診療における地域連携の役割―20年間の成果と今後の展望―

演者 大澤俊哉(岡山済生会総合病院内科)
共同演者 藤岡真一(岡山済生会総合病院内科), 塩出純二(岡山済生会総合病院内科)
抄録 近年診療の各分野で病診連携が大きく取り上げられるようになり国や地方自治体も:地域連携ネットワークの構築を進める取り・組みを始めているが当院では20年前より病診連携の重要性を認識し特に肝疾患診療におけるネットワークの構纂に努めてきた対象となる医療機関は当院がへき地医療拠点病院であり岡山県へき地医療支援機構を担う病院であることから近隣の開業医・病院だけでなくへき地診療所や他のへき地医療拠点病院を含んでいる.情報提供.の場として平成3年3月より肝疾患の研究会を年6回開催し肝疾患ガイドラインなど最新情報の共有を図り連携ツールとして地域連携クリティカルパスを用いている.また平成8年よりへき地診療所への専門医の出張診療を月2回行っているこのような当院独自で構築した地域連携に加えて最近、.岡山県では肝疾患地域連携パス「もも肝シリーズ」が整備された.すなわちC型慢性肝炎のインターフェロン治療における連携パス「C型慢性肝炎治療地域連携パス(もも肝C)」肝がん発生高危険群患者さんの囲い込みを行う連携バズ「肝がん早期発見地域連携パス(もも肝S)」肝癌治療後の経過観察を行う連携パス「肝がん再発発見地域連携パス(ももff R)」の3種類の地域連携パスができ.地域連携は新たな段階へと進んできている.当院の肝細胞癌についての検討では2006年から2009年の新規肝細胞癌症例474例中初診時肝細胞癌を認めたものは384例(81%)当院経過観察中に発見されたものは90例(19%〉であり後者の90%以上がステージIIIであるのに対して前者はステージI.IIが60%にとどまっていた.このことは早期発見用のもも肝Sの活用が今後重要であると考える.治療後の連携に関しては肝細胞癌治療後の416例中328例(79%)で達携診療がなされていたこのほか当院の肝疾患診療についての分析と連携の現状を呈示し今後の展望について言及したい.
索引用語