セッション情報 一般演題(口演)

分子生物学I

タイトル

O-001 胃癌における胃腺粘液糖鎖の検討―α結合型N-アセチルグルコサミン残基の欠損について―

演者 白津和夫(社会医療法人財団慈泉会相澤病院消化器内科)
共同演者 浅野純平(社会医療法人財団慈泉会相澤病院消化器内科), 竹村勇治(社会医療法人財団慈泉会相澤病院消化器内科), 西条勇哉(社会医療法人財団慈泉会相澤病院消化器内科), 杉井絹子(社会医療法人財団慈泉会相澤病院消化器内科), 久保田大輔(社会医療法人財団慈泉会相澤病院消化器内科), 山本智清(社会医療法人財団慈泉会相澤病院消化器内科), 五十嵐亨(社会医療法人財団慈泉会相澤病院消化器内科), 薄田誠一(社会医療法人財団慈泉会相澤病院消化器内科), 宮田和信(社会医療法人財団慈泉会相澤病院消化器内科)
抄録 【目的】胃粘膜に存在する副細胞や幽門腺細胞等の腺粕液細胞から分泌される腺粘液は非還元末端にαL4結合したN一アセチルグルコサミン残基(αGlcNAc)を有するユニークなO一グリカンを含んでいる.最近我々の共同研究施設では胃の腺粘液に静異的な糖鎖であるαGlcNAcの転移酵素であるα4GnTをノックアウトしたマウスの作成に成功した.ノックアウトマウスでは胃幽門部に分化型腺癌が発症することが明らかとなりαGlcNAcが胃癌の発生を抑制している可能牲が示唆された.本研究は胃癌におけるaGlcNAcの発現について検討しその臨床病理学的特徴について明らかにすることを目的とする.【方法1当院で2002年から2005年に胃癌に対し手術を行われた214例についてその切除標本に対し胃腺粘液のコア蛋白であるMUC6に対する抗体およびαGlcNAcに特異的に結合するHIKIO83抗体による免疫染色を行いそれぞれの発現を解析した.さらにその病理学的特徴や進行度予後等との相関について検討した.【結果】分化型胃癌ではMUC6陽性かつHIKIO83陰性の症例すなわちαGlcNAcの欠損があると考えられる症例はMUC6陽性かつHIKIO83陽性の症例より有意に壁深達度が高度であり静脈侵襲陽性である割合が高かった.印環細胞癌ではこれらの傾向は明らかではなかった.【結論】分化型胃癌の多く特に進行癌ではMUC6とHIK1083の染色性に乖離があゆその発癌・進展の背景にαGlcNAcの欠損が存在する可能性が示唆された.印環細胞癌ではMUC6とHIKIO83の染色性が同等である症例が多くαGlcNAcの欠損と関与しない発癌・進展様式を有するものと推測された.
索引用語