抄録 |
【目的】通常胃癌生検切片の病理診断においては病変局所の組織学的情報が得られこれと他の臨床所見や過去の症例での統計学的情報を組み合わせる事により治療方針の決定や予後の推定が行われている.一方癌組織におけるDNAコピー数異常が癌の病態と関連する事は良く知られておりarray-based comparative genomic hybridization(aCGH)が開発されている.演者らはaCGHミニチップを用いて胃癌生検切片からの胃癌の病態推定を試みた.【方法】胃癌の病態と関連するマーカークローン138種類のミニチップを作成した.まず胃癌手術例30症例での検討を行った.その後関門医療センターで外科的あるいは内視鏡的切除を受けた胃癌31例32病巣において治療前の内視鏡的かん子生検切片1-2片冷凍保存しaCGHを行った.aCGH結果はカスケード解析した.【結果】胃癌手術症例でのaCGHの精度はリンパ節転移肝転移腹膜播種深達度に対してはそれぞれ66:7%86.7%86.7%、96.7%であっ.た.胃癌生検切片ではaCGHは25病巣(78.1%)に施行できた.7病巣でaCGH困難であった要因は小切片での量的不足や切片の乾燥などであった.aOGHでリンパ節転移陰性と推定の9病巣では7病巣が転移陰性2病巣では陽性であった.【結論1胃生検切片を用いたaCG且は可能であった. aCGHの現時点でのカスケード解析では転移偽陰性を排除できていないため臨床的に有用な「転移の無いがん」の同定には1解析法の更新が必要と考えられた. |