セッション情報 一般演題(口演)

分子生物学II

タイトル

O-010 胃癌症例の背景胃粘膜のCOX-2DNAメチル化の検討

演者 路川陽介(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科)
共同演者 安田宏(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科), 渡邊嘉行(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科), 大石嘉恭(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科), 前畑忠輝(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科), 伊東文生(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】シクロオキシゲナーゼ(以下COX)は胃粘膜防御機構や発癌への関与が指摘されている.COX-2は実験潰瘍において潰瘍治癒に重要である.またCOX-2選択的阻害剤は胃癌内視鏡治療後の異所性再発を予防する.COX-2のプロモーター領域にはCpG islandが存在しepigeneticな発現制御を受ける可能性がある. H.pylori(以下HP)感染は胃粘膜で様々な遺伝子のDNAメチル化を誘導することから背景胃粘膜のCOX-2のDNAメチル化の程度が潰瘍発症や発癌に影響する可能性がある.各種病態における背景胃粘膜COX-2メチル化を検討した。【方法】COX-2メチル化は内視鏡下に生検鉗子で採取した胃前庭部粘膜組織よりDNAを抽出してバイサルファイト・パイロシークエンス法で定量的に解析した.【結剰1.・HP陽性例と陰性例での検討(胃癌除菌例を除く;n=81):陽性例では陰性例と比べて有意にCOX-2メチル化が充進していた(8.3 vs 27.6%;p<0.0001).2.除菌の影響(n=14):除菌例ではHP陽性例と比べて有意にCOX2メチル化は即値であった(16.6vs 27.6%;p<0.001).3.胃癌症例での検討(n=16):内視鏡治療が可能な胃癌症例ではHP陽性非胃癌例と比べてCOX-2メチル化は低値であった(17.4 vs 27.6%;p<0.001).【結論】HP感染例ではCOX2はメチル化しているが除菌例では低値であった一方胃癌症例ではメチル化は即値の傾向があり胃粘膜萎縮の進展でCOX-2が脱メチル化し易発現となることが発癌に関与する可能性が示唆された.HP感染者のCOX-2メチル化の程度は潰瘍発症や発癌に関与する可能性がある.
索引用語