抄録 |
【背景】胃リンパ球浸潤癌(CLS)は癌巣周囲に著明なリンパ球浸潤を伴う予後良好な腺癌であり胃癌全体の約1~4%を占める特殊型胃癌である1目的】CLSの臨床的特徴および病理組織的を明らかにすることを目的とした.【方法12001~2011年に当院で経験したCLS12例を対象とし臨床症状内視鏡所見予後病理所見などについて検討した【結果】期間中の胃癌切除症例は1516例でありCLSは0.79%を占めた.年齢は中央値65歳(46-85)男性7例女性5例であった検診発見癌は6例(50%)有症状受診は4例その他2例であった.内視鏡所見はlla+Hc5例Ilc2例1型1例2型2例SMT2例であった.8例では表面が発赤調を呈した.複数回の生検施行は3例であった.EUSは診断に難渋した3例に施行され第3層に濾胞構造様の低エコー所見は2例で観察された部位別ではU4例M6例L2例であった.鵬長径は中央値31㎜(14-81)であった.治療は手術11例ESD後追加手術が1例であった他の癌合併は3例で肺癌1膀胱癌1異時性胃癌1でありいずれもCLS発見以前に手蹟が施行されていた術後観察期間は中央値7年(4M-10Y3M)で10例が生存2例が死亡5年生存率は91.7%であった.組織型はporl:11例tub1:1例であり粘膜表層と浸潤部で組織型が異なるのは10例にみられ粘膜表層tub1-2=9例por1:3例であった.深達度はsm211例se』1例であった.脈管侵襲は7例にみられリンパ節転移は1例のみにみられた.病期別ではStage lA lO例B l例∬1例であった。【結語1 CLSの癌浸潤部は低分化型であるが粘膜表層部は分化型が混在することが多かった.癌表層部は強い発赤調を呈することが多くEUSでの第3層の濾胞構造様の低エコー所見は診断に有用であった.粘膜下層に留まることが多く予後は良好である. |