抄録 |
【目的】クローン病の治療はinfliximabをはじめとした分子標的薬の登場により近年大きく変化しこれらの分子標的薬が寛解導入・維持に効果を挙げている.しかしながら入院又は手術が必要となる患者は依然として多い.今回は当院にてinfliXimabを投与したクローン病患者を対象に栄養療法の有効性をretrospectiveに検討した.【方法】対象は2002年6月から2011年10月までに名古屋大学消化器内科で外来または入院加療したクローン病患者のうちinthximabを投与した79名. infiiXi-mab投与後の成分栄養剤の投与量と入院又は手術に関する検討を行った.解析は成分栄養の投与量(900kcal/日以上or未満)により対象を2群に分けinfliXimab投与後の初回入院又は手術をエンドポイントしたKaplan-Meier法により検討した.両者の差の検定にはログランク検定を用いた【成績1 infli)cimabにて寛解導入した79名のクローン病患者のうち20歳以下で発症したクローン病患者37名を対象とした検討で成分栄養剤900kcal/日以上を投与した群の入院率が有意に低下していた(p=α024).また手術率については成分栄養剤900kcal/日以上を投与した群で低下する傾向はあったが有意な低下は認めなかった.【結論】20歳以下で発症したクローン病患者においてinfliximabによる寛解導入後の入院回避には900kcal/日以上の投与が有効であり長期の寛解維持を目的とする継続的な栄養療法が必要であると考えられた. |