セッション情報 一般演題(口演)

基礎(炎症)

タイトル

O-033 潰瘍性大腸炎の大腸粘膜におけるセロトニン再取り込みトランスポーターの発現に関する検討

演者
共同演者
抄録 (背景と目的〉下目トニンは脳腸相関に深く関係する神経伝達物質であり蠕動運動を含む消化管機能に関与する.セロトニンは腸クロム親和性細胞の一つであるEC細胞にて合成されセuトニン再取の込みトランスポーター(serotonin reuptake transporter:SERT)を介して腸粘膜細胞に取り込まれ除去される.一般に過敏性腸症候群の病態にセロトニン代謝が深く関わることは報告されているが炎症性腸疾患の病態におけるセロトニンの関与はいまだ不明な点が多く、報告も少ない.我々はこれまでに慢性腸炎モデルマウスの大腸粘膜においてSERTの発現量が低下していることを報告してきた(JDDW2011).今回我々は潰瘍性大腸炎患者の大腸粘膜におけるSERTの発現量と組織学的な炎症との相関について検討した.(方法)潰瘍性大腸炎25例を対象とし内視鏡施行時に同一個体の炎症粘膜および非炎症粘膜から各々生検組織を採取した.SERTの粘膜局所における発現量をreal-time PCRで検討した.なお内在性コントロール遣伝子はcytokeratin 20を用いた.粘膜局所におけるSERTの発現量と同部位の内視鏡的および組織学的炎症の程度との相関についても検討した.(結果)潰瘍性大腸炎患者の同一個体におけるSERTの発現量は非炎症粘膜に比べ炎症粘膜において有意に低下していた.また内視鏡的および組織学的炎症の程度と負の相関がみられた.(結語)ヒト大腸粘膜においてSERTの発現量は炎症の程度と相関して低下することが分かった.潰瘍性大腸炎の病態において腸管のセロトニン代謝異常が関与する可能性が示唆された
索引用語