セッション情報 一般演題(口演)

基礎(炎症)

タイトル

O-034 NardilysinはTNF-αのシェディングを促進し腸炎を増悪させる

演者 神田啓太郎(京都大学消化器内科学)
共同演者 妹尾浩(京都大学消化器内科学), 木村勇斗(京都大学消化器内科学), 石津祥子(京都大学消化器内科学), 米門秀行(京都大学消化器内科学), 千葉勉(京都大学消化器内科学)
抄録 [目的]TNF一αは膜結合蛋白として産生され細胞外ドメインがプロテアーゼによって切断されて(シェディング)t/遊離型の活性化TNF一αとなる.Nar-dilySin(NRDc)はADAM17プロテアーゼ(TACE)を活性化しTNF一αの細胞外ドメインを切断し活性化させる.TNF一αはヒト炎症性腸疾患増悪の鍵を握る因子であるためNRDcが腸炎に及ぼす影響についてマウスを用いて基礎的検討を試みた.[方法]NRDcノックアウト・マウス(NRDc KO)と正常同胞(WT)に2.5%デキストラン硫酸塩(DSS)を投与して腸炎を惹起した.投与開始後7日目に腸管を採材し組織学的変化炎症性サイトカイン変動を免疫染色qRT-PCRELISAで検討した.〔結果]WTへのDSS投与により腸炎組織でのNRDcのmRNAおよび蛋白の発現は上昇していた.NRDc KOはWTに比べDSS投与による腸管クリプトの破壊や炎症細胞浸潤が極めて軽微であった.TNF一αのmRNAはDSS非投与群に比べ投与群ではNRDc KOで4倍WTで5倍程度の上昇を認めた.同様に腸管から抽出したTNF一α蛋白はNRDc KOで3.5倍WTで4倍程度の上昇を認めた.それに対し腸炎組織を採材後24時間無血清培地で培養した上清中のTNF-q蛋自量は. NRDc K:0でし3倍WTで4倍程度の上昇を認め遊離型TNF一α蛋白量に著明な差が認められた.腸管から抽出した蛋白を用いたウェスタン・プロットでもNRDc K:0では遊離型TNF一α蛋白が極めて少なかった.またシェディングによる調節を受けない炎症性サイトカインである几一6CXCLICCL2などのmRNAは. DSS非投与群に比べ投与群のNRDc KOで1.5倍未満の軽微な上昇にとどまりWTで4倍程度の上昇を認めた.[結論]Nar〔lilysinはTNF一αのシェディングを促進し炎症性サイトカイン・カスケードを活性化して腸炎を増悪させることが示唆された.
索引用語