抄録 |
【目的】大腸がんではEpidermal growth factor receptor(EGFR)の異常活性が報告されている。一一方紫外線は皮膚科領域などで治療応用例があるもののがん領域で実用した報告はない.そこで今回短波長紫外線(UV℃)を用いた大腸がん治療の可能性について検討した.【方法1大腸がん細胞株SW480HT29DLD-1に対するUV-Cによる細胞増殖抑制効果tUV-CによるEGFRの脱感作(内在化および分解)EGFRの各種リン酸化tUV-Cによる細胞内情報伝達機構への影響EGFR活性化シグナル系に対するUV-Cの影響について検討した.【結果]1いずれの細胞に対してもUV-Cによる細胞増殖抑制tコロニー形成阻害を認めた.UV-CによりEGFRは内在化されまたTAK-1-p38 MAPK系を介してEGFRのセリン残基(SerlO46/1047)のリン酸化およびEGFRの分解を認めた.さらにp38 MAPKの阻害によりUV-CによるEGFRの内在化セリンのリン酸化および分解は抑制されるもののUV-CによるDNA障害は抑制されなかった.またEGFによるAktの活性化はUV-Cの前照射により有意に抑制された.【結謝UV-Cは大腸がん細胞増殖抑制作用を示したこれはUV℃が引き起こすDNA障害に依存したものではなくUV-CがTAK-1-p38 MAPK系を賦活しEGFRのセリン残i基をリン酸化した後EGFRの脱感作を引き起こすというメカニズムが考えられた.細径プローブ装着型の紫外線発光装置などの開発によって大腸粘膜へ直接照射することが可能になれば大腸がんに対して有力な治療法の一つになると思われた.(AdachiSet al. J Biol Chem 2011;286:26178-26187) |