抄録 |
【目的】肝線維化の進展に伴い血清亜鉛(Zn)値は低下する.またC型慢性肝疾患(HCV-related CLD)患者における血清Zn値とインスリン抵抗性は逆相関することを我々は報告して.きた.今回HCV-relateCl CLD患者におけるZn欠乏に関連する因子について検討した。【対象と方法1対象はHCV-related CLD患者40例(慢性肝炎35例肝硬変5例)で血清Zn値と肝線維化肝脂肪化およびインスリン抵抗性との関連について検討した.肝組織におけるstaging.は新犬山分類によって脂肪化はBruntらの分宿によってインスリン抵抗性はHOMA一皿値によってそれぞれ評価した.またin・s血一like growth factorイ(IGF-1)とTそれに結合することによってIGF-I signa五ロgを抑制するIGF-binding protein 3(IGFBP-3)を測定しZn欠乏に伴うインスリン抵抗性発現の機序について解析した.【結果】HCV-related CLD患者における血清Zn値は肝線維化の進展に伴って低下しておりFlとF4との間で有意差を認めた(81、6±113.Ovs 60、8土33μg/dlpニO.OOIO).肝脂肪化がgrade 2である患者の血清Zn値はgrade Oのそれと比較して低い傾向1にあった.一方血清Zn値とHOMA-M値との間には負の相関が認められた(r;一〇.366p=O.0335).血th IGF-1とZn値との閥連をみると両者は有意に相関していた(r = O.443p=0.0077)がZnとIGFBP-3との1間には有意な相関は得られなかった.血中titree IGF-1を反映するIGF-E/1GFBP-3比と血清Zn値との間では有意な正の相関を認めた(r=O.468pl= O.0046).またIGF-YIGFBP-3丁目HOMA-M値との間で負の相関が得られた(r=一α459p=OIOO43>.【結論】HCV-relatedCLD患者における血清Zn値の低下に伴い肝線維化や脂肪化は高度になった.またZn欠乏によってIGF-1の産生が低下し血中free lGFが減少することによってIGF-Isigrialing.が抑制されるためインスリン琢抗性が出現する可能性が示唆された. |