セッション情報 シンポジウム2(消化器病学会・肝臓学会合同)

C型肝炎治療の最前線

タイトル 肝S2-17:

IL28B遺伝子多型による治療効果予測不一致に寄与する宿主因子の検討

演者 村田 一素(国立国際医療研究センター国府台病院)
共同演者 杉山 真也(国立国際医療研究センター国府台病院), 溝上 雅史(国立国際医療研究センター国府台病院)
抄録 【目的】IL28B近傍SNP解析はペグインターフェロン・リバビリン療法(Peg-IFN/RBV)の効果予測に有用であるが、約20%に不一致例が存在する。我々は末梢血リンパ球のIFN-λ3誘導能を解析することによって、さらに高い確率で効果予測が可能であることを報告してきた。今回はIFN-λ3誘導能の多寡に寄与する宿主側因子について検討した。【方法】C型慢性肝炎患者 (n=94)より末梢血リンパ球(PBMC)を採取・精製し、IFN-α存在下にTLR7 agonistにて刺激し、培養上清中のIFN-λ3蛋白をELISA法にて測定した。肝線維化の評価はacoustic radiation force impulse (ARFI) elastographyで行った。我々がIL28B発現の多寡に関与していると報告したIL28Bプロモーター領域のTA繰り返し配列 (TA repeat)はdirect sequence法で、また、IL28B近傍SNPのうちrs8099917はInvaderPlus法で測定した。TA repeatは日本人の75%において認める長さより長い場合を“long TA repeat”と定義した。【成績】IFN-λ3の発現はTG/GG症例に比較してTT症例で有意に高かった (p<0.05)。過去のPeg-IFN/RBV治療効果別に比較すると不応例と反応例においてIFN-λ3量は歴然とした差を認めた(p=1.0×10-9)。IFN-λ3誘導不良に関与する患者背景について多変量解析を行ったところ、低血小板数およびsheared wave velocityの増加が有意な因子として抽出された。さらにTT 症例では血小板数とIFN-λ3誘導能に相関を認めたが、TG/GG症例では相関を認めなかった。TA repeatを解析できた83例中25例 (30.1%)でlong TA repeatを認めた。興味深いことにTG/GG症例においてIFN-λ3が強く誘導できた症例とIFN-λ3誘導不良例ではlong TA repeatの頻度に差を認めた(63.6% vs 33.0%)。TT症例ではIFN-λ3誘導の多寡で差は認めなかった。【結論】IFN-λ3誘導量は基本的にIL28B遺伝子多型による。しかし、TTのIFN-λ3誘導不良例では肝線維化進展と関連し、TG/GGの高IFN-λ3誘導例ではlong TA repeatが関連していた。他因子については今後の検討課題である。
索引用語 IFN-λ3, 治療効果予測