抄録 |
【背景・目的】術後再建腸管症例に対する膵胆道疾患の精査治療の必要性が増える中で内視鏡的アプローチの報告が散見される.しかし術後再建症例に対するERCPはまだまだ困難である.経乳頭的治療の難易度は再建法により影響され内視鏡の有効長不足癒着により手技を完遂できないことも多い.我々は鉗子起上装置を有する前方斜視鏡を選択することで困難とされてきたBillroth H法(BII)Roux-en-Y法(RY)再建切除胃症例におけるERCPの工夫をしてきた.内視鏡選択.手技の工夫成績について報告する【方法】全症例で前方斜視鏡を用いた.腹臥位透視下で造影剤を併用し腸管走行を確認しながら実施した.RY症例において輸入脚の長い症例では小腸内視鏡用オーバーチューブを用いて腸管短縮・直線化を行った【対象】1996年から胆管膵管に対し検査・治療手技を行ったBII39症例RY19症例で総胆管結石32例悪性胆道狭窄9例膵癌疑い5例1、慢性膵炎4例胆管空腸狭窄4例IPMN3例仮性膵嚢胞1例である.1結果】BII39例中35例(89.7%)で手技を完遂した.内容はERCP:TS留置:EMS:EST t ENBD:副乳頭切開:EPBD;TS留置+EST:膵管ステント留置=15:5二4:4:3=2:1:1(例).手技を完遂できなかった4例のうち3例は癒着が高度で乳頭到達が困難であったRY19例中10例(526%)で手技を完遂した.内容はTS留置+EST:EPBD:TS留置:EST:副乳頭切開:ERCP=・4:2:1:1:1:1(例).完遂できなかった9例中6例は癒着のため乳頭および吻合部に到達できず2例は患者の不穏による.合併症は膵炎:EST後出血:消化管穿孔昌1:1:1ですべてB皿症例において認めた.【結論1BH症例では通常ERCPに遜色ない良好な成績でありTBII症例において前方斜視鏡による胆管膵管手技は有用であったRYについて内視鏡有効長の不足のみならず癒着が手技の完遂に関わり乳頭到達に苦労する症例が4割ほど認めた.乳頭到達率を向上することで治療成績の向上が得られると思われまずは乳頭到達に有効な内視鏡を選択する必要があると思われた. |