抄録 |
1目的】メタボロミクスは代謝物と呼ばれる低分子を網心的に測定し環境や疾患などの要因により変化する代謝物から細胞の機能解析や各疾患の診断癒用などを研究する最新のオミックスである.今回メタボロミクスを膵癌診断に応用した.【方法1膵癌31例慢性膵炎7例の血液サンプルを使用した. CE一・TOFMS(キャピラリー電気泳動・飛行時間型質量分析装置)を用い主要な代謝物の大部分であるイオン性物質を網羅的に解析し膵癌に特有の代謝産物を同定した.同時に血液申の腫蕩マーカー(P53抗体CEACA19-9SPAN-1DUPAN-2)も測定した.【結果】メタボローム解析により血液中に約450の代謝産物を測定しその内約150物質を同定した.AUC(受信者動作特性曲線以下の面積)〉α65p〈0。05を認めた代謝物は16物質で4物質が同定可能であった各種腫瘍マーカーのAUC値はP53抗体:0.5143CEA : O.7212CA19-9:0.9171DUPAN-2:0.8345SPAN-1:09448であった.しかしながら正粗率の高かったSPAN-1CA19-9においてもfalse negativeの問題が認められたCAI9-9SPAN-1とDUPAN-2とを組み合わせて解析したがAUCはα9517にとどまった.一方ある代謝物質と一つの腫瘍マーカーとを組み合わせたところAUCは1となり感度も特異度も100%となった.【結語】血液をサンプルとしたCE-TOFMSを基盤としたメタポローム解析により膵癌に特徴的な代謝産物の特定を行った.腫瘍マーカーと代謝物質の結果を組み合わせて解析したところ慢性膵炎と膵癌との鑑別診断が100%可能となった.CE-TOFMSは極めて低容量(10μL)の検体で低濃度の代謝産物を高い解像度で安定して綱場的に一斉に検出・定量することが可能である.血液と同時に唾液を用いたメタボローム解析について検討を進めている. |