セッション情報 一般演題(口演)

基礎

タイトル

O-091 メタボローム解析を応用した膵癌バイオマーカーの探索

演者
共同演者
抄録 【目的】血液を用いた膵癌の早期診断には膵酵素や腫瘍マーカーが活用されている.しかし診断時80%近い症例がStage lVa/IVbであり早期膵癌の拾い上げが重要な課題となっている.メタボロミクスは代謝物と呼ばれる低分子を網羅的に測定し細胞の機能解析や各疾患の診断応用などを研究する最も新しいオミックスである.このメタボロミクスを癌診断に応用し膵癌の早期診断法を確立する取り組みを進めている.【方法】膵癌29例嚢胞性膵腫瘍5例胆道癌10例その他膵胆道系疾患54例の血液サンプルを使用した.また対象として20例の健常者血液を用いた.CE-TOFMS(キャピラリー電気泳動・飛行時間型質量分析装置)を用い主要な代謝物の大部分であるイオン性物質を網羅的に解析した.同時に血清腫瘍マーカー(CA19-9SPAN-1DUPAN-2CEA)を測定した.【結果] CE-TOFMSにより血中から約450の代謝産物を検出しその内150物質を同定した膵癌患者と健常者間で統計的有意差を認めた代謝産物は27物質であった.また主成分分析では膵癌患者を健常者から分離することが可能であった.Span-1CA19-9ではfalse rregativeとなる症例が認められたが特徴的な代謝産物を組み合わせることにより鯉se negativeを減らすことができた.慢性膵炎と膵痛との比較では代謝産物のデータを組み合わせることによりほぼ100%鑑別が可能であった.【結語】健常者と比較して膵癌に特徴的な代謝産物の抽出が可能であり代謝産物による膵癌診断の可能性が示された.さらに膵癌と慢性膵炎との鑑別が腫瘍マーカーと組み合わせることにより可能となった.メタボローム解析は抗癌剤の感受性評価や唾液を用いた診断にも応用可能と考えている
索引用語