抄録 |
【目的】逆流性食道炎(RE)の発症には下部食道の蠕動運動能や下部食道括約筋(LES)部の運動が関与していることが報告されている.今回我々は320列Area Detector CTを用いて侵襲の少ない条件下で下部食道の運動や食道壁の変化について検討した.【方法】20歳以上の健康ボランティアの8名と上部消化管内視鏡検査にてLA分類のgradeA以上のREと診断された20名を対象とした.6時間の絶飲食後仰臥位から15慶上体を起こした体位で希釈造影剤を嚥下してもらい320列Area Detector CTにて10秒間撮影した. CT画像を用いて食道裂孔ヘルニアの有無横隔膜食道裂孔の面積ヒス角安静時のLESの長さ弛緩時のLES前壁と後壁の厚さと内腔の面積をそれぞれ測定し健常者群軽症RE(grade AB)群重症RE(grade CD)群の3群問で比較検:解した【成績】食道裂孔ヘルニアは重症RE群において高率に認められた.ヒス角はREが重症化するに伴い鈍化している傾向であった.LESの長さは食道内圧の測定で判定されるLES長より短い傾向がありまたRE例では健常者に比しLESがより短くなる傾向が認められた.嚥下に伴う弛緩時おけるLES部後壁の厚さはREの重:症化に伴って厚くなる傾向があった.食物通過時における下部食道内海の面積はREの重症化に伴って広くなっておりより大きく弛緩していると考えられた.【結論】今回我々は320列Area Detec-tor CTを用いて下部食道から胃接合部を観察した.健常者と比較してRE例ではLESが短縮し食道壁の周在性に違いがあることが明らかとなった. |