抄録 |
【背景1ステロイドは潰瘍性大腸炎に対する依然有効な内科的治療法の一つであるがその多量投与による副作用は多彩で.不可逆的なものも多い。そしてその副作用の発現は相対的手術適応とされてきた.しかしながらステロイド副作用と術後感染性合併症との関連は明らかにされていない.【目的1当施設で潰瘍性大腸炎に対し回腸嚢肛門吻合術を施行した症例において臨床的特徴ステロイド投与量ステロイド副作用術後感染性合併症について検討することを日.的とした.【方法】12000年9月から2011年9月までの間に回腸嚢肛門吻合術を施行した潰瘍性大腸銘患者227例を対象とした.臨床病理学的因子ステロイド総投与量(プレドニゾロン換算)直前ステロイド投与量術前ステロイド副作用(骨病変糖尿病精神病眼病変成長障害、サイトメガロウイルス感染)術後感染性合併症(手術部位感染症遠隔感染症縫合不全)との関連を検討した.【結果1iステロイド総投与量直前ステロイド投与量と各種ステロイド副作用発症には明.らかな関連性は認められなかった.手術部位感染遠隔感染発症率はともに臨床病理学的因子ステロイド総投与量直前ステロイド投与量および術前ステロイド副作用と有意な関連性は認められなかった.しかしながら術後縫合不全発症率はサイトメガロウイルス感染陽性群が陰性群に比して有意に多く(50%vs.8.4%p冨0.03)またステロイド精神病発症群に多い傾向を示した(23%vs. 7.9%p=0.06).また小児例における手術部位感染症は成長障害例に多い傾向を示した(67% vs20%p=0.09)【結論】ステロイド投与量よりもステロイド精神病サイトメガロウイルス感染を有することが術後縫合不全のまた小児例においては成長障害が手術部位感染症の発生予測因子になる可能性が示唆された. |