セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

O-120 潰瘍性大腸炎術後の回腸嚢炎発生率および発生要因の検討

演者 大北喜基(三重大学消化管・小児外科)
共同演者 荒木俊光(三重大学消化管・小児外科), 北嶋貴仁(三重大学消化管・小児外科), 藤川裕之(三重大学消化管・小児外科), 志村匡信(三重大学消化管・小児外科), 小池勇樹(三重大学消化管・小児外科), 井上幹大(三重大学消化管・小児外科), 内田恵一(三重大学消化管・小児外科), 毛利靖彦(三重大学消化管・小児外科), 楠正人(三重大学消化管・小児外科)
抄録 【背景】憤瘍性大腸炎に対する内科的治療は進歩しつつあるが外科的治療の根治的意義の重要性は依然として大きい.しかしながら回腸嚢肛門吻合術後に発生する回腸嚢炎はQOLを低下させる大きな要因の一つでありその原因や病態機序について明らかにされていない.1目的】当施設で施行された回腸嚢肛門吻合術後の回腸嚢炎の発生状況とその要因を検討することを目的とした.【方法】2000年10月かち2011年5月までの問に回腸嚢肛門吻合術が施行された潰瘍性大腸炎患者のうち回腸人工肛門閉鎖後6カ月以上経過観察された198例を対象とした.経過観察中に排便回数の増加下腹部痛発熱肛門部痛等の症状を有し内視鏡検査により回腸嚢粘膜にびらんまたは潰瘍が確認された場合を回腸嚢炎と診断した.回腸嚢炎の発生率および年齢(発症時・手術時)性別重症度術前内科的治療内容body mass index術前血液検査成績(Ch-ETPALBWBCHbCRP)手術治療計画手術時間手術時出血量術後感染性合併症術後肛門吻合部狭窄の有無術前後肛門内圧検査成績(最大静止圧・機能的肛門管長)との関連を検討した.【結果】累積回腸嚢炎発生率は1年12.1%3年24.2%5年38.4%10年57.3%であった.回腸嚢炎発生群と非発生群における臨床病理学的因子の比較では回腸嚢炎発生群は非発生群に比して有意に術前総ステロイド投与量(プレドニゾロン換算)が多く(18900mg vs 14300mgp=O.OO2)術前CRPが高い傾向を示した(1」3mg/dL vs.0.87mg/dLp=008)。【結論1今回の検討では.潰吐出大腸炎に対する回腸嚢肛:門吻合術後の回腸嚢発生率はこれまで本邦から報告されていたものより高い傾向にあった.また回腸嚢炎発生は術前総ステロイド投与量:に有意に関連しており今後これらのさらなる検討によって発生予測因子および発生原因の解明につながるものと考えられた.
索引用語