セッション情報 一般演題(口演)

臨床2

タイトル

O-154 早期膵癌の定義提唱

演者 江川新一(東北大学肝胆膵外科)
共同演者
抄録 【背景と目的】浸潤性膵管癌という定義はすでに進行したものを意味しており早期膵癌の定義はない.日本膵臓学会の膵癌登録データから長期予後が期待できる早期の膵癌の定義を提案する.【方法1通常型膵癌膵管内腫瘍(INs>嚢胞性腫瘍(CNs)の切除12725例を対象とし.生存率と臨床病理学的因子の関係をKaplan-Meler法にて求めた腫瘍径で3-10mm(TSla)11-20mm(TSI b)に細分化しt深達度を上皮内微小浸潤浸潤の3段階とした腺腫も前癌病変として解析に加えStage分類.はUICCを用いた.1結果】通常型膵癌10798例INs1296例CNs 631例で腺腫・前癌病変は664例であった.年度ごとにINsおよび通常型膵癌の切除例は増加した.Stage [[bまでの切除例が増加しStage IIIIVの切除例は減少した.腫瘍径の増大とともに生物学的悪性度が増悪したINsCNsを通常型膵癌に加えた生存率で:はStage Oの5年生存率は86.1%であった.Stage Oの場合は腫瘍径・嚢胞径にかかわらず長期生存が可能で腺腫と癌の生存率に有意差はなかった.Stage laIbに限れば微小浸潤を有する場合の5年生存率は73.8%と浸潤癌の432%に比較して良好であった.また通常型膵癌StageIafOにおいて10㎜以下(TSla)で5年生存率が76.5%と11-20mmのTSlbの51.0%に比較して良好であった.1考察1観察期間が十分ではないが長期予後が期待できる早期の膵癌は存在する.PanlN病変は他の組織型に随伴する病変としても登録される.微小な膵癌でもStageが進行している場合がわずかながら存在するため早期膵癌の定義にはStageを加味するべきである.【結語】早期膵癌として以下の3点を満たすものを提案する.1:嚢胞径を問わず上皮内(StageO)または微小浸潤(Stage OlaIbまで)である癌または前癌病変2:浸潤癌の場合は腫瘍径10 mm以下かつStage Iであること3:腺腫・前癌病変も含めて腫瘍性病変であれば組織型は問わないこの定義により長期予後が期待できる早期膵癌の成績比較生物学的特徴の解析が可能となる.
索引用語