セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

O-157 IPMN外科治療における縮小手術の位置づけ

演者 松本逸平(神戸大学肝胆膵外科)
共同演者 新関亮(神戸大学肝胆膵外科), 外山博近(神戸大学肝胆膵外科), 浅利貞毅(神戸大学肝胆膵外科), 後藤直大(神戸大学肝胆膵外科), 白川幸代(神戸大学肝胆膵外科), 田中正樹(神戸大学肝胆膵外科), 山下博成(神戸大学肝胆膵外科), 沢秀博(神戸大学肝胆膵外科), 高橋応典(神戸大学肝胆膵外科), 上野公彦(神戸大学肝胆膵外科), 土田忍(神戸大学肝胆膵外科), 木戸正浩(神戸大学肝胆膵外科), 楠信也(神戸大学肝胆膵外科), 味木徹夫(神戸大学肝胆膵外科), 福本巧(神戸大学肝胆膵外科), 具英成(神戸大学肝胆膵外科)
抄録 【背景と目的】IPMCは切除により予後が期待できるが定型的膵切除術は侵襲が大きく術後QOLの低下を招く我々は微小浸潤癌までと診断し切除断端陰性が確保されれば積極的に縮小手術を行う方針としている.しかし国際診療ガイドラインでは縮小手術につき統一された明確な指針は示されていない.今回縮小手術の成績と残聴機能につき検討した.【対象】IPMN切除87例.平均年齢68歳男女比47/40浸潤性IPMC/微小浸潤・非浸潤性IPMC/IPMAは21/24/42であった.【結果11.微小浸潤・非浸潤性IPMCではリンパ節転移例はなく観察期間(中央値82714-3170日)中の原病死は1例のみであった(残土再発).浸潤癌の全生存期間中央値は36ヶ月無再発生存期間中央値は21ヶ月であった.また浸潤癌においては術前診断の正診率は95%であった.2膵中央切除(MP)3例と尾側膵切除(DP)22例の比較では術前および術後12ヶ月の平均HbAlc(%)は5.75.75.56.3とMPでは変化がなかったのに対しDPでは;有意に悪化した.また術後の新規糖尿病発生はMPでは認めずDPでは64%と高率であった.3.主膵管型IPMNに対する尾側膵亜全摘(SDP)5例と膵全摘(TP)5例の比較では術後内分泌機能についてはTP群で全例インスリン依存性糖尿病となりSDP群では5例中4例で術後新規に糖尿病を発症2例でインスリン導入となった.SDP群では血糖コントロール不良例はなかったがTP群では時に低血糖発作を認めた.術後12ヶ月でのアルブミン値リンパ球数では両群に差はなかった.4.DP22例中腹腔鏡下手術10例は開腹12例と比較して術後平均在院日数は開腹29日に対して15日と有意に短かった.【結語】浸潤癌の診断は画像診断で可能でD2リンパ節郭清を伴う定型的切除を行う.微小浸潤癌までの症例ではリンパ節転移を認めず切除断端陰性が確保されれば機能温存術式や低侵襲手術を行うべきである.
索引用語