セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

O-162 肝外転移合併進行性肝細胞癌症例に対するソラフェニブ治療の臨床的特徴

演者 中野聖士(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門)
共同演者 鳥村拓司(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門), 佐田通夫(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門)
抄録 【目的】分子標的治療薬であるソラフェニブは進行性肝細胞癌症例の生存期間を延長する事が知られている.しかしながら肝外転移合併症例に限った報告はほとんどない.そこで今回我々は肝外転移合併進行性肝細胞癌症例に対するソラフェニブ治療の臨床的特徴を評価した.【方法】2009年5月~2010年12月の期間にソラフェニブ治療を受けた進行性肝細胞癌96例を用いて前向きに検討を行った.それぞれの症例の背景を評価し肝外転移の有無による臨床的特徴の相違を検討した.【結果】ソラフェニブ治療を受けた進行性肝細胞癌96例中肝外転移を合併していたのは61例であった.主な転移先の臓器は肺:41例・骨:14例・リンパ節:12例・副腎:4例・横隔膜:4例であった.ソラフェニブ治療の経過中に発生した主な有害事象は手足皮膚反応:49例・下痢:23例・脱毛:13例・肝機能障害:13例・全身倦怠感:11例・高血圧症二9例・口内炎:8例であったソラフェニブ治療中止となった原因としては有害事象が36例と最も多く続いて病勢の進行が27例PSの低下が8例であった.その有害事象の内訳は肝機能障害:8例・手足皮膚反応:7例・下痢:4例・高血圧症:3例・腹水:2例・皮疹:2例・全身倦怠感:2例・その他:8例であった.全症例の生存期間の中央値は11.6ヶ月無増悪生存期間の中央値は3.2ヶ月1年生存率は48%であった.単変量解析の結果生存に関わる有意な予後因子はAFP値・DCP値・治療期間であった.同様に多変量解析の結果生存に関わる有意な予後因子はDCP値・治療期間であったソラフェニブの治療効果については全症例と肝外転移合併進行性肝細胞癌症例の間に差はみられなかった.また生存期間・無増悪生存期間ともに山外転移の有無・肺転移の有無による差はみられなかった.【結論】ソラフェニブ治療は肝外転移の有無にかかわらず進行性肝細胞癌症例に対して効果をもたらす治療である事が示唆された.
索引用語