セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

O-164 高齢肝細胞癌症例に対する治療介入の是非

演者 須田剛士(新潟大学消化器内科)
共同演者 上村顕也(新潟大学消化器内科), 田村康(新潟大学消化器内科), 五十嵐正人(新潟大学消化器内科), 川合弘一(新潟大学消化器内科), 山際訓(新潟大学消化器内科), 野本実(新潟大学消化器内科), 青柳豊(新潟大学消化器内科)
抄録 【目的】80歳以上の高齢肝細胞癌症例に対する治療介入の是非を予後の観点から明らかとする.【:方法】1983年から2011年に当院で治療を受け1年以上の経過観察が可能であった740例を対象とし予後を統計学的に解析した.【結果】全体の生存期間中央値は1094日で49歳以下50歳代60歳代70歳代ならびに80歳以上の各群間に有意な予後の差異は認められなかった(p=0.19).各年齢の余命が公開されている1996年目ら2010年の間に初回治療が実施され既に死亡が確認されている260症例に関して余命に対する生存率(余命生存率)を検:討した結果余命生存率の中央値(eMST)は8.7%で同時期に無治療経過観察がなされた9例の2A%に比し有意に高値であった(p=O.OOO8).年齢別には80歳以上のeMSTが10.8%と最も高値であったのに対し。49歳以下と50歳代ではそれぞれ4.4%4.5%と他の年齢層のそれらに比して有意に即値であった(p<O.OOO1)また。各年齢層間で肝予備力に差異は認められなかったが初回治療時の腫瘍ステージは49歳以下で有意に進行していた(p=0.038).一方eMSTに差異の認められなかった80歳以上と60歳代一70歳代の群問においては肝予備力と腫瘍進展度のいずれに関しても差異は認められなかった(p=0.35p=0.71)【結論】余命に対する生存率を指標とした結果発見時の腫瘍進展に伴い若年層の予後が不良であったのに対し80歳以上の高齢肝細胞癌症例の予後は全年齢層の中で最も良好であった.単に高齢であることは治療介入の障害ではなく80歳以上の高齢肝細胞癌症例においても積極的な治療により生命予後の改善がもたらされるものと考えられた.
索引用語