抄録 |
[目的]持続炎症が癌細胞の悪性度を高めるかは浜田らがラットのplasticplateの近傍におとなしい乳癌細胞を接種すると悪性度の高い癌細胞に変化することを確認したがこれは異物周囲の炎症細胞からIL-6などが放出されるからと考えた.前回はC型肝硬変症からの肝発癌に際し母地肝硬変の炎症が強いとEdmondson(Ed)Ill型が出現すると発表した。今回は硬変肝の炎症が弱いとEdl型で留まるかを検討したので報告する.[方法]過去の一切円392例の内C型肝硬変症Child A(前司変改F3の症例も含む).を母地として単発の結節型小肝細胞癌(最大径が3cm以下)が発生し肝切除を施行された32症例を対象とした.各症例の非癌硬変部の炎症の程度をKnodellらのHAIを用いて検討した.繊維化の項を除いた(1)門脈域の削りとり(2)小葉内障細胞の変性巣状壊死(3)門脈域の細胞浸潤の3項目について各々0一一4段階で採点した.各症例5視野を観察し炎症指数を合計しその平均値を算出した.[結果]32例中7例でEd I型の出現を認めその硬変肝のHAIは平均3.61±O.70でありこれはEd:皿型が出現していた17例のHAIの平均521±L15より有意に低回であった(p〈O.OO1).なお肝癌結節の最大径の平均値はEd I型(7例)で21.9±6.8mmであるのに対しEd]皿型(17例)で220±6.9mmであり有意差は認められなかった.[考察]EdI型出現例とEd皿1型15年例では肝癌の大きさに有意差がないがHAIに関してはEdl型では低値でありEdm型が高値であり明らかな有意差が生じたことは硬変肝の炎症が強いと肝癌悪性化も早くEdII型・皿型に移行し炎症が弱いとEdl型に留まると考えた.[結語]C型肝硬変症から発症した肝癌の悪性度:の進展Promotion>を抑えるためには硬変肝の炎症を抑えることが有用であると示唆された. |