抄録 |
【目的1原発性胆汁性肝硬変(:PBC)は中年以降の女性に好発する慢性非化膿性破壊性胆管炎であり抗ミトコンドリア抗体(AMA)が高率に出現する疾患である.長期予後が見込める無症候性のaPBCが多数を占める一方で病態が進行し肝不全や食道静脈瘤出血にいたる症例も少なからず存在する.AMAは診断には極めて有効であるものの活動性や長期予後との関連性は低ぐ病状進行の予測には適さないと言われており代わりにGP210や抗セントロメァ抗体の測定が長期予後の予測に有用であるとの報告が見られる.しかし未だはっきりとした見解は得られていない.そこで今回我々はPBCの予後に関わる因子を検討した、【方法】症例は1995年9月から2011年9月の間に当院でPBCと診断されGP210の測定が行われた77例を対象にしたこれらの症例の予後に関してGP-210抗セントロメア抗体の有無など予後との関連が報告されている因子を中心に解析を行った.【結果】症例の男女比は73対4で女性が多く平均年齢は55歳であった、登録時の臨床病期はaPBCが44例slPBCが26例s2PBCが7.例であった. IGP210陽性症例で診断時のIgM≧253mg/dlの割合(p = O.029)は有意に高くBil≧2.Omg/dlの割合(p;().054)も高い傾向にあった.ALP>3601U/1に関しては有意差を認めなかった(p=O.76).また抗セントロメア抗体の有無に関してはGP210陽性例で四四ントロメア抗体陰隆の割合が:有意に高かった(p = Oρ038).全体の平均観察期間6.5年の観察中に肝移植もしくは肝不全死に至ったものは6例であった.予後に関して検討を行ったがGP210の有無では死亡移植までの期間(p=021)や症状出現までの期間(p=0.44)には明らかな有意差は認めなかった.【結論1今回の検討ではGP210の有無では予後に関して有意差は認めなかったがGP210陽性例で診断時の肝病態に関連した因子が不良の傾向にあった. |