セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

O-192 当院における潰瘍性大腸炎患者に対するラモセトロン塩酸塩投与の現況

演者
共同演者
抄録 【目的】従来過敏性腸症候群(irritable bowel disease:BS)は器質的異常を伴わない腸管運動調節障害と考えられてきた.しかし近年IBSにも炎症性腸疾患(in到am・matory bOwel disease:IBD)と同様に器質的な異常を指摘されBDにおいても寛解期にIBS様症状を呈することが指摘されている今回当院で加療中の潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis:UC)患者で、 IBS様症状に対してラモセトロン塩酸塩を投与した15例について検討したので報告する【方法】1)当院の男性UC症例106例のうちラモセトロン塩酸塩投与群(A群)15例と非投与群(B群)91例についてt発症年齢罹病期間罹患部位を比較した2)上記15例のうち経過観察可能であった14例について投与前と投与後4週の白血球数(WBC)CRP排便回数Clini-cal activity index(CAI)で治療効果を検討した.【結果11)平均発症年齢はA群:24.3歳B群:39.4歳でA群が有意に若年で発症していた.平均罹病期間はA群:8.7年B群:9.9年であり有意差を認めなかった.罹患部位はA群が全大腸8例湿半結腸5例直腸2例B群が全大腸59例左半結腸24例直腸8例でありt有意差を認めなかった.2)ラモセトロン塩酸塩投与前のWBC:6500個/叫CRP:O.lmg/dl排便回数=5.5回目日CAI:5で投与後4週のWBC:6250個/μlt CRP:O15mg/dl排便回数:3.5回/日CAI:2(いずれも中央値)であった. WBCCRPに有意差は認めなかったが排便回数CAIは治療後有意に低下した。【考察】BS治療薬であるラモセトロン塩酸塩によりUCの活動性指標であるCAIが低下したまたラモセトロン塩酸塩投与前のCRPは14例中10例で陰性でCAIで臨床的寛解と評価される4点以下の症例も4例あった.以上よりUCが臨床的寛解または炎症反応陰性であるにも関わらず下痢や腹痛等が残る症例ではIBSの病態が併存している可能性がありIBS治療薬も有用な選択肢であると考えられた.
索引用語