セッション情報 一般演題(口演)

IBD(その他)

タイトル

O-207 炎症性腸疾患患者における静脈血栓塞栓症の現状と対策

演者 中村昌司(大阪労災病院消化器内科)
共同演者 小森真人(大阪労災病院消化器内科), 鈴木麻奈(大阪労災病院消化器内科), 末吉弘尚(大阪労災病院消化器内科), 吉井俊輔(大阪労災病院消化器内科), 吉岡鉄平(大阪労災病院消化器内科), 有本雄貴(大阪労災病院消化器内科), 大川雅照(大阪労災病院消化器内科), 平尾元宏(大阪労災病院消化器内科), 佐藤雅子(大阪労災病院消化器内科), 山田幸則(大阪労災病院消化器内科), 吉原治正(大阪労災病院消化器内科)
抄録 【目的】炎症性腸疾患患者は増加の一途を辿っており合併症の一つとして静脈血栓塞栓症が知られているが詳細は不明な点も多い当院で経験した症例を基に炎症性腸疾患患者における静脈血栓塞栓症の現状と対策について若干の文献的考察を加え報告する1【方法1現在当院にて経過観察申の炎症性腸疾患患者は487名(潰瘍性大腸炎279名クローーン病208名)である.その内2症例に静脈血栓:塞栓症を合併した.【成績】症例1は53歳男性.発熱・下痢(20-30行ノ日)・血便にて発症しt下部消化管内視鏡検査にて潰蕩性大腸炎(左側結腸型)と診断後当院に紹介受診となった.当院受診時体温38.7℃CRP 20.56mg/dlESR43mln/hであり精査加療目的にて同日入院となった.腸管評価目的のため入院当日に造影CT施行したところ無症候性の右外腸骨静脈から大腿静脈内に血栓肺動脈に血栓塞栓を認めた.症例2は34歳男性.近医でクローン病と診断されメサラジンを内服していた.下痢症状の悪化.(10行/日〉を認め当院に紹介受診となった.当院受診時低栄養と炎症反応を認め(TP 5.6g/dlAlb 2.Og/dlHb 7.Og/dlCRP 3.68mg/dL ESR 63mm/h)同日入院となった.下部消化管内視鏡ダブルバルーン内視鏡検査にて小腸大腸型のクローン病(活動期)と診断した.栄養療法にて症状や炎症反応の改善を認めた.入院第24演出に左下腿浮腫の訴えあり造影CT施行したところ左通腸骨静脈肺動脈に血栓塞栓を認めた両症例共に緊急に下大静脈フィルター挿入ワルファリンカリウム投与を開始するも静脈血栓は溶解困難であり永久型フィルター留置術施行となった.【結論】炎症性腸疾患患者特に急性増悪期においては定期的に深部静脈血栓症の有無を確認する必要性があることが示唆された抗凝固剤の予防投与に関しては出血のリスクも念頭におき総合的に判断し慎重に投与すべきであると考える.
索引用語