| 抄録 |
【目的】バングラデシュ人は日本人に比しHelicobacter pylori（Hp）感染率が高いが慢性炎症好中球活動度腺萎縮腸上皮化生スコアが低く胃癌の少ないことを報告した（Asian paradox）．今回はHp陽性陰性バングラデシュ人の背景胃粘膜を比較観察した．【対象と方法】内視鏡検査3点生検を行ったバングラデシュ人418例を対象とした．3点生検切片（＃1：前庭部下部大恥側＃2＝胃体上部大轡側＃3：胃体下部小勢側）の病理診断はUpdated Sydney systemに従い一人の病理医が診断した．背：景胃粘膜の比較には年齢性別内視鏡診断をマッチさせたHp陽性例陰性例135組270例を使用した．【成績】慢性炎症好中球活動度スコアは全ての部位においてHp陰性例に比し陽性例で有意に高かった（Hp陽性例陰性例の慢性炎症スコア：＃1は1．831．08＃2は1．450．91＃3は1．91LO3Hp陽性例陰性例の好中球活動度スコア：＃1は1．90023＃2は1．47O．19＃3はし95α17すべてp〈O．OOO1）．しかし腺萎縮腸上皮化生スコアはHp陽性例．陰性野間に相違を示さずHp陽性例においても四恩だった（Hp陽性例陰性例の腺萎縮スコア：＃1はOO．01＃2はOO＃3は00．01Hl）陽性例陰性例の腸上皮化生スコア：＃1は0．OlO．01＃2はOO＃3はO．03003）．【結語】Hp陽性バングラデシュ人の慢性炎症好中球活動度スコアは陰性例に比し高値を示した．しかしこれらはHp陽性日本人に比べると有意に低い（日本人の慢性炎症スコア3点平均値：2302．202．22好中球活動度スコア3点平均値：2．112212．03）．一方バングラデシュ入はHp陽性例においても腺萎縮腸上皮化生スコアが低く、Hp陰性例と近似しておりこれが胃癌の少ない要因と思われた． |
