抄録 |
【はじめに】近年高齢化社会が進む:につれ低用量アスピリン(LDA)などの抗血小板薬を服用している高齢者に対し上部消化管内視鏡検査を施行する機会が増加してきている.LDAをはじめとする抗血小板薬による吐下血などの症状を伴う症候性胃粘膜傷害の危険性についての報告は数多くみられるようになってきたがLDAを含む抗血小板薬夏用者の無症候性胃粘膜傷害についての検討は十分に行われていない.【慢的】今回我々は抗血小板薬服用者の無症候性胃粘膜傷害の発生状況について薬剤別および粘膜傷害程度別に検討した.【方法1対象は20LO年10月~2011年IIO月の間の当センター入間ドック受診者のうち抗血小板薬服用者で消化器症状がなく上部消化管内視鏡検査を受けた53名.対象者をLDA邸内服用者LDA以外の抗血小板薬単位服用者LDA+他の抗血小板薬服用者の3群に分け患者背景(年齢性身体所見血液検査など)内視鏡所見(血od笛ed Lanza score(MLS)など)を比較検討した.またMLS 1または4以上を胃粘膜傷害有りとした時の無症候牲胃粘膜傷害有無での背:景因子について比較検討した.【成績】胃粘膜傷害はMLS 1以上の症例は18例(蝕0%)Mms 4以上の症例は5例(94%)であった. LDA服用者ではMLS 1以上35.1%MLS 4以上13.5%であったLDA以外の抗血小板服用者ではMLS 1以上は28.6%MLS 4以上は0%であった.3群問での胃粘膜傷害発生について統計学的有意差は認められなかったがMLS 4以上の比較的強い胃粘膜傷害はLDA服用者のみに認められた.胃粘膜傷害有無についての有意な背景因子は認められなかった.【結論】抗血小板服用者においてMLS 1以上の軽度の無症候性胃粘膜傷害は34%に認められたがMLS 4以上の比較的強い無症候性胃粘膜傷害はLDA服用者のみに認められLDA服用者では潜在性出血をきたしうる無症候性胃粘膜傷害に注意が必要と考えられた. |