抄録 |
【背景】近年切除不能進行肝細胞癌に対し分子標的薬であるソラフェニブが使用されているが有害事象が多く投与継続が困難なことが多い.当院においてソラフェニブ減量投与が著効した2例を経験したので報告する.【症例1180歳男性.門脈腫瘍塞栓を伴う再発肝細胞癌に対しソラフェニブ800mg/日で開始しかしDay11で皮疹出現を認めたため400mg/日に減量するが症状改善なくDay18に一旦内服中止Day25に施行した腹部造影CTで門脈腫瘍塞栓の縮小を認めたためソラフェニプ200mガ日で内服を再開した2か月後のCTで早期濃染部及び門脈に連続した腫瘍塞栓部の消失を確認治療開始15か月後も門脈塞栓の再発は認めず200mg/日で内服継続中のまま腫瘍の増大は認めていない.【症例2】68歳女性.再発を繰り返す肝細胞痛に対しソラフェニブ400mガ日で開始治療開始2か月後に手足症候群が出現したが角質ケアを継続しながら内服継続.治療開始5か月後のCTでは早期濃染部位がわずかに残存するのみとなった。治療開始8か月後の現在も内服継続中で腫瘍の増大は認めていない.【結果】当院でソラフェニブの投与を行った17例を検討したところ初回投与量は800mg投与群が6例で減量投与群が11例であった.副作用は手足症候群6例(35.3%)肝不全4例(23.5%)が出現し800mg投与群で3/6例(50.0%)減量投与群で3/11例(27.3%)の計6/17例(35.3%)で有害事象による中止が認められた.奏功率は(CR/PR/SD/PD/詳細不明)=O/2/4/9/2であったPR症例はいずれも減量投与症例であった.投与中止率は800mg投与群にくらべ減量投与群で:有意に低かった【考察1ソラフェニブ減量投与が著効した2症例を経験した.少数例での検討ではあるがソラフェニブ減量投与は800mg投与群にくらべ投与中止率が低く。同様の治療効果が期待されると考えられた. |