抄録 |
【目的1近年では画像検査の発達による肝細胞癩の早期発見と適切な加療により肝癌破裂例は減少傾向にある.ただし破裂に至った例では致死的な経過をとる事が多く速やかな診断を必要とする.今回我々は破裂に関連する因子並びに診断確定に関与する因子を検討するために当院ならびに当院関連施設における肝細胞癌患者51例について後ろ向き検討を行った【方法】対象は2001年8月から2011年7月の10年掛に当院ならびに当院関連病院にて肝細胞癌破裂と診断治療された51例である肝細胞癌破裂の診断については身体所見既往より破裂例を疑い.腹部CT検査にて放射線科医読影のもと診断確定とした.腹部CT検査施行不可能な症例では開腹手術または剖検にて診断確定とした.破裂に関する因子としては年齢性別塞礎因子肝硬変の有無既往(糖尿病・高血圧)身体所見血液検査(HbWBCPLTGOTGPTLDHAlbT-BilPT%AFPPIVKA2)画像検査(腫瘍径部位)を検討した.【結果1破裂例における平均年齢は73.3歳.男性27例に対して女性24例.成因別としてはHCV 35例HBV6例NBNC lO例.肝硬変合併例は41例(80%).糖.尿病合併例は37例(72%)高血圧合併例は11例(21%)破裂前におけるChild-Pugh分類はChUd A 14例Chnd B 8例Child.C9例し身体所見としては腹痛腹満感が46例(90%)で認められ血液検査は破裂前後でHbAlb値の変化に有意差(P〈005)を認めた.AFP値については非破裂例と比べ半年間での変化率に有意差を認めた.腫瘍は多発例45例単発例6例最大径4.5cm以上が47例を占めておりいずれも肝表面に接する病変であった.【結論】今回の検討では破裂例において男女差を認めずC型肝炎が70%肝硬変例は80%を占めた.初発症状で腹痛腹満感が90%で認められHbALB低下を伴い画像検査で多発かつ最大径45cm以上の腫瘍においては破裂を疑う必要があると考えたまたAFPは肝癌破裂を予期する上で有用と考えた |