セッション情報 一般演題(ポスター)ディスプレイ4

憩室

タイトル

P-032 当院における入院加療を必要とした大腸憩室症の臨床的検討

演者 磯崎豊(松下記念病院消化器科)
共同演者 安田知代(松下記念病院消化器科), 山西正芳(松下記念病院消化器科), 酉家章弘(松下記念病院消化器科), 沖田美香(松下記念病院消化器科), 長尾泰孝(松下記念病院消化器科), 小山田裕一(松下記念病院消化器科)
抄録 1目的】大腸憩室症は食事の欧米化や高齢化が進んだことで近年増加してきている.多くは保存的治療で軽快するがなかにはコントロールに難渋し手術が必要となる重篤な症例も存在する今回我々は当院で入院加療を必要とした大腸憩室症の特徴とその治療法について検討したので報告する.【方法】当院で2003年IIO月から20111年9月までの9年間に大腸憩室症の合併症で入院加療を必要とした延べ238例(男性141例女性91例平均年齢61歳)を対象に性別発症年齢合併症の頻度病変離位や治療法について検討した.【成績】入院の契機となった合併症の内訳は憩室出血がl15例(48%)と最も多く次いで憩室炎93例(39%)穿孔例(9%)狭窄例(4%)の順であった.平均年齢は脳室炎が他の合併症に比べ有意に低い傾向があった(P<0.05).病変部位について憩室炎は右側結腸に穿孔・狭窄は左側結腸に有意に多い傾向があった(P<0.0001)憩室出血はやや右側に多い傾向であった。憩室出血と憩室炎の大部分が保存的治療で軽快する一方憩室症全体の11%にあたる26例で手術が施行されており合併症別では穿孔・狭窄例の手術率が各々76%67%と有意に高かった.憩室出血のうち内視鏡的に出血点か確認され止血処置が施行されたのは24例と憩室出血全体の21%で内19例が右側の結腸憩室出血であった.再発率は憩室出血が25%で他の合併症と比較して有意に高い傾向があった.抗凝固療法の有無と憩室出血の再発輸血の有無の間に明らかな統計学的関連性は認められなかった【結論】大腸憩室症はその合併症によって治療経過が大きく異なる.憩室出血や憩室炎例では保存的治療で比較的良好な経過をたどるが穿孔や狭窄例は病勢のコントロールに難渋する症例が多くT保存的治療に固執せず積極的に手術適応を検討することが必要である.
索引用語