抄録 |
【目的】下部消化管出血症例における緊急内視鏡的止血術の意義を検討した【方法】2010年11月から2011年10月までの1年間に当センターにおける下部消化管出血254例のうち緊急内視鏡的止血術を施行した24症例を対象とした.【結果】疾患の内訳は急性出血性直腸潰瘍(AHRU)10例(42%)憩室出血7例(29%)ポリペク1・ミー後出血2例(8%)放射線性腸炎(RC)2例(8%)結腸Dieulafoy潰瘍1例(4%)t術後吻合部出血1例(4%)直腸粘膜障害1例(4%)であった.主な止血方法はAHRUではクリップ法+高張ナトリウムエピネフリン液(HSE)局注法憩室出血・ポリペクトミー後出血・DieUlafoy潰瘍・吻合部出血ではクリップ法(+HSE脚注法)RCではアルゴンプラズマ凝固法直腸粘膜下障害ではHSE偶偶法であった.憩室出血の総:数は30例でうち出血源を特定し内視鏡的止血術を施行したのは7例(23%)でありその後再出血は認めなかった.一方AHRUの総数は14例でうち10例(71%)に内視鏡的止血術を施行した.AHRU2例で7~10日後に再出血を認めたが内視鏡的に止血できた.下部消化管出血254例全例において外科治療や血管塞栓術を要することなく対応しえた憩室出血30例中15例(50%)AHRU 14例中7例(50%)が抗血小板薬抗凝固薬を内服していた輸血は254例申15例に要しAHRU3例t憩室出血7例その他5例であった.輸血を要する症例では抗血小板薬抗凝固薬を内服している症例が多く10例(66%)であったその他DICなど重篤な全身状態である症例に必要となっていた.【結語】AHRUにおいては詳細な直腸の観察で診断が可能であり止血術につながる症例が多かった憩室出血においては発症早期の内視鏡検査で出血源を同定できる可能性が高くなる傾向があり止血術をすることで再出血予防につながると思われた |