抄録 |
【背景】潰瘍性大腸炎やクローン病などの難治性・再発性炎症性腸疾患ではその病態に過剰な酸化ストレスや抗酸化システムの破綻などが関与していることが明らかとなっている.一方Peroxiredoxin(Prx)は近年同定されたペルオキシダーゼ活性をもつ抗酸化蛋白質であり現在までに6つのサブタイプが報告されている.このうちPrx4は唯一の分泌型Prxであり大腸で高発現していることが明らかとなっているが炎症性腸疾患における役割は不明である.そこで今回我々はマウス実験腸炎モデルを用いて腸管炎症におけるPrx4の役割について検討を行った、【方法】7週齢雄性Prx4欠損マウスおよび野生型マウスに対して2.5%Dextran sulfate sodium(DSS)を8日間経口投与することで腸炎モデルを作成した.腸炎についてはDAI(d董sease activity index)大腸の腸管長myeloperoxidase(MPO)t唖聾各種炎症性サイトカイン発現について測定し評価を行った.またPrx4の大腸粘膜での発現についてはウェスタンプロット法・免疫組織化学にて評価を行った.【結果】DSS投与によりPrx4欠損マウスでは野生型マウスに比べて有意にDAIは増加し腸管長も有意に短縮が認められた.好中球による炎症の指標であるMPO活性や各種炎症性サイトカインもPrx4欠損マウスで:有意に充即していた.野生型マウスの大腸粘膜におけるPrx4発現は大腸粘膜上皮細胞で確認され腸炎悪化により発現の低下を認めた.【結論】腸管炎症の進展においてPrx4は組織保護作用を発揮していると考えられ炎症性腸疾患における新規治療標的分子としての可能性が示唆された. |