セッション情報 一般演題(ポスター)ディスプレイ2

大腸

タイトル

P-055 潰瘍性大腸炎におけるIgG4陽性形質細胞浸潤の検討

演者
共同演者
抄録 (目的)IgG4はIgGの中でもっとも少ないサブクラスであるが自己免疫性膵炎患者血中で高値を示しその膵組織および種々の膵外病変においてIgG4陽性形質細胞が多数浸潤することが明らかになってきた.我々はこれを包括したIgG4関連硬化性疾患の概念を提唱した.しかし近年炎症性腸疾患の粘膜組織やリウマチ性関節炎などの慢性炎症魍織でIgG4陽性形質細胞浸潤が増加しているという報告も散見される.潰蕩性大腸炎患者の大腸粘膜におけるIgG4陽性細胞浸潤の有無と臨床像を明らかにする事を目的とした.(方法)ステロイド治療歴のない潰瘍性大腸炎31例の大腸生検組織および外科的切除材料12例についてIgG4免疫染色によるIgG4陽性形質細胞浸潤程度(10個以上/強拡大を陽性)を検索した.(結果)生検組織では浸潤陽性例は9例(29%).外科的切除材料では浸潤陽性例は4例(3396)、浸潤陽性例と非陽性例で年齢(44±12.8 vs 04.7±162歳)性別(男/女:6/7vs14/16)で差はなかった臨床経過分類(再燃緩解型/慢性持続型/急性激症型!初回発作型:3/8/1/1vs14/10/2/4)病勢分類(直腸炎/左側結腸炎/全結腸炎/特殊型:3/3/7/O vs 4/11/13/2)内視鏡的重症度[生検材料のみ検討](軽度/中等度/強度=3/6/Ovs 4/17/11)に差が無かった.生検材料浸潤陽性例について各例平均4.1ヵ所の生検検体それぞれを組織学的炎症所見をMatts分類でグレーディングすると(Grade1 : 3.7士4、6個/Grade2:8.4±6.1個/Grade3:12±49個/Grade4:15.5±39個/Grade5;14.5±2.1個)と炎症所見の強い部位でIgG4陽性形質細胞数が増加する傾向を認めた(結語)潰蕩性大腸炎患者の約3割に大腸粘膜へIgG4陽性形質細胞浸潤陽性例があり特に組織学的炎症所見が強い部位に多数浸潤が認められた.潰瘍性大腸炎の病態におけるIgG4陽性形質細胞浸潤の意義について今後検討が必要である.
索引用語