抄録 |
【目的1近年十二指腸乳頭部腫瘍は上部消化管内視鏡によるスクリーニングや画像診断の普及により発見頻度は増加してきている.また腺腫や腺腫内癌に対する内視鏡的乳頭切除術の報告も増加し縮小手術に関する検討もなされている.しかし十二指腸乳頭部癌(乳頭部癌)は胆道癌のなかでは比較的頻度が低く早期乳頭部癌に閲する報告は多くはない.今回地方病院である当院で経験した早期乳頭部癌症例を検討した【方法】対象は平成9年7月~平成23年5月までに経験した乳頭乳癌25例のうち手術または内視鏡的乳頭切除術(EP)1により診断された早期乳頭部課6例(年齢59~77歳平均67歳男性4例女性2例)で腺腫内癌1例深達度m3例od 2例検討項目は1)症状および発見契機。2)術前診断3)治療法および予後とした1【成績】1)無症状4例黄疸・肝胆道系酵素上昇が2例で無症状の症例はEGDで発見されたものが3例USが1例(膵管拡張)であった.2)黄疸例では術前PTBDEBSを各々1例、無症状の1例にEBSを施行した.全例肉眼型は隆起型(露出腫瘤型4例ポリープ型2例)で粘膜面に穎粒状変化を伴うものが3例であった.EUS・IDUSは5例に施行し3例は膵浸潤または十二指腸浸潤が疑われ手術となった.術前生検ではGroup皿4例Group V 2例であった.3)4例は手術が施行され内訳は幽門輪温存膵頭十二指腸切除術2例(pa七AcdおよびpatAbcd)膵頭十二指腸切除術2例(patAbpcdおよび腺腫内癌)であった.他の2例(patAdc腺腫内癌)はEPを施行したが早期偶発症として出血2例膵炎1例を認めた.全例無再発生存中である【結論】1)術前生検と術後病理との乖離例が存在しEUSおよびIDUSによる画像診断ではoverdiagnosisとなる傾向があることを考慮する必要がある2)腺腫・早期乳頭部癌の発見にはEGDおよびUSによる適切なスクリーニングが重要であり術前診断の確立が望まれる |