抄録 |
【目的】早期胆嚢癌を画像検査で発見し診断するためにはその肉眼的特微に関する知識が必須である.本研究の目的は早期胆嚢癌の臨床病理学的特徴を解明することである.【方法】早期胆嚢癌299切除例1を対象とした早期胆嚢癌の定義および肉眼型分類は胆道癌取扱い規約に準じた.切除標本を全割し平均18個のパラフィン包埋ブロックを作製しHE染色にて検鏡した.138例でリンパ節転移の検索が可能であり計670個口リンパ節をHE染色にて検鏡した.【結果】肉眼型分類別頻度;隆起型107例(36%)表面型192例(64%)であった.隆起型の内訳は有茎性21例無茎性86例であり表面型の内訳は表面隆起型39例表面隆起+平坦型62例表面平坦型91例であった.臨床的診断率;131例(44%)は臨床的顕在癌であり168例(56%)は臨床的潜在癌であった.隆起型107例中84例(79%)が術前あるいは術中超音波検査で診断できたのに対し表面型では192例中47例(24%)のみ診断可能であった(P<OOO1).特に表面平坦型は91日中12例(13%)しか臨床的に診断されていなかった.病理組織学的特徴:有茎性病変の茎は非腫瘍性粘膜で構成されており有茎性21例中19例(90%)は腺腫内癌であった.無茎性86日中76例(88%)ではその周辺に表面隆起型や表面平坦型を伴っていた.一口萱eW:pTlaが257例(86%)pTlbが42例.(14%)であった. pTlaの107例(42%)pTlbの24例(57%)が臨床的顕在癌であった(P=O.07). pTla 257例においてリンパ管浸潤静脈浸潤神経浸潤はすべて陰性であったpTlb42例ではリンパ管浸潤陽性は1例のみであり静脈浸潤神経浸潤は陰性であった.検索した計670個のリンパ節はすべてリンパ節転移陰性であった.【結論】早期胆嚢癌の半数以上が病理検査で初めて発見される臨床的潜在癌である早期胆嚢癩の3分の2が表面型でありその臨床的診断率は24%と低率であるため診断困難な表面型を描出する画像診断法の確立が望まれる |