セッション情報 一般演題(ポスター)ディスプレイ4

膵嚢胞性腫瘍

タイトル

P-079 径3cm以上の分枝型IPMNの長期経過観察例の検討

演者 松村圭一郎(福岡大学筑紫病院消化器内科)
共同演者 川本研一郎(福岡大学筑紫病院消化器内科), 植木敏晴(福岡大学筑紫病院消化器内科), 丸尾達(福岡大学筑紫病院消化器内科), 簑田竜平(福岡大学筑紫病院消化器内科), 大塚雄一郎(福岡大学筑紫病院消化器内科), 野間栄次郎(福岡大学筑紫病院消化器内科), 光安智子(福岡大学筑紫病院消化器内科), 松井敏幸(福岡大学筑紫病院消化器内科)
抄録 【目的】IPMNの国際診療ガイドラインでは嚢胞径3cm以上の分枝型IPMNは手術適応とされている.当科では分枝型IPMNの手術適応を嚢胞径に関係なく壁在結節の有無や膵液細胞診で決定してきた.そこで5年以上経過観察した分枝型IPMN症例について検討した.【対象と方法】1997年6月から2006年6月までに当科で経験した分枝型IPMNのうち嚢胞径cm以上で経過観察した13例を対象とした.平均観察期間は61±50カ月(6~172カ月)であった.検討項目は1.臨床的背景2.嚢胞増大率3.節劇管径増大率4.壁在結節の出現率5。通常型膵癌の発生率6.他臓器癌の発生率7.生存率である.【成績】1.男性が3例(23%)女性10例(77%)平均年齢は71±8歳で有症状例が7例(53%)であった.主膵管径は4±mm(2~11mm)であった嚢胞径は45±21rnmで嚢胞数が単発7例(53%)で多発6例(47%)であった.壁在結節を4例(31%)に認めたが全例手術拒否例であった2嚢胞増大例が4例(31%)で平均すると約4年後に増大を確認した.3年目の増大症例の比率は25%であった.3.主膵管径が増大した症例は2例(15%)でそれぞれ約5年と約1年後であった.1年と5年増大率は50%であった.4壁在結節の増大例や新たに出現した壁在結節はなかった.5.通常型膵癌の発生はなかった.6.他臓器癌の合併が3例(23%)で平均すると約3年後に出現していた.肺癌上行結腸癌肝細胞癌がそれぞれ1例ずつであった.7死亡例は7例(53%)で5年生存率が75%であった.死因は癌化したIPMCで死亡した1例は壁在結節があったが手術拒否例であり残りの12例はすべて膵疾患以外であった【結謝長期経過観察した径3cm以上の分枝型IPMN症例は嚢胞径や主膵管径の増大を認めたが死亡例は多くが他疾患であった.嚢胞径が3cm以上の分枝型IPMNであっても壁在結節がなく膵液細胞診が陰性であれば経過観察することも選択肢の一つであろう.
索引用語