抄録 |
【目的】胃分化型腺癌の発生母地として腸上皮化生が注目されてきた.しかし形質発現の研究の進歩に伴い胃型分化型腺癌が存在する事が報告された.進行胃癌による検討は多数報告されているが癌発生初期像である早期胃癌の検討は少なく分化型早期胃癌を用いてその形質発現と背景粘膜の関連性について検討した【方法】.当院で内視鏡あるいは外科的に切除され病理学的検索が行われた分化型早期胃癌120病変(陥凹型74病変隆起型46病変)を対』象とした胃癌の形質発現は4種類の細胞分化マーカー (MUCsACt MUC6MUC2CD10)を用いて判定し胃型・混合型・腸型・無形質型に分類した.背景粘膜の形質発現は癌の口側粘膜と肛門側粘膜が腸曲であったもの(病変が腸上皮化生に取り囲まれている)と癌の口状粘膜が腸型であったものを腸上皮化生群(IM群)とした.また、癌の肛:旨旨粘膜のみが腸型であったものと癌の口側粘膜・肛門側粘膜のいずれも腸型形質を認めなかったものを非腸上皮化生型(nonlM群)とした. r結果】120病変の内訳は腎型242%(29/120)混合型42。5%(51/120)腸型333%(40/120)無形質型0%(0/120)であった、IM群81病変では胃型26%(21!81)混合型37%(30/81)田町37%(30/81)無形質型0%(0/81)でありnonlM群39病変では範型205%(8/39)混合型53.9%(21/39)1腸型25.6%(10/39)無形質型0%(O/39)であった.IM群とnonlM群で.は形質発現に偏りを認めなかった(Pニ0.62)また胃型(21/81vs8/39:p=0.277)混合型(30/81vs21/39:p=O.114)腸型(30/81vslO/39:p = O.eO1)の3群間で有意差を認めなかった.【結論】IM群とnonlM群がら発生した癌はそれぞれ胃型・混合型・腸型形質を発現しており腸上皮化生の有無に癌の形質発現は左右されない事が示された. |