セッション情報 一般演題(ポスター)ディスプレイ3

タイトル

P-112 診断に苦慮した慢性膵炎併発膵癌の2症例

演者 伊藤裕幸(東海大学消化器内科)
共同演者 川口義明(東海大学消化器内科), 鶴谷康太(東海大学消化器内科), 仁品玲子(東海大学消化器内科), 小川真実(東海大学消化器内科), 峯徹哉(東海大学消化器内科)
抄録 症例1は81歳男性.平成21年9月に心窩部痛を認め近医を受診.アルコール性慢性膵炎膵石の診断にて当院紹介となる.有症状であり膵頭部膵石による著明な膵管拡張所見も認めていたため膵石に対する加療としてESWL及び膵管ステント留置を行ったその後は慢性膵炎として定期的に外来加療としていたが平成22年8月頃より体重減少腹水貯留閉塞性黄疸が出現.悪性腫瘍を疑い各種画像や複数回に渡る細胞診を行うものの慢性膵炎以外の所見は認めなかった.閉塞性黄疸に対し胆管ステントを留置し。身体症状に対しては対症的な加療を行うも平成22年12月差摂食不能となり緊急入院悪性腫瘍の確定診断がつかないまま状態が悪化し同月26日に永眠された.同意を得て施行した剖検では膵頭部に腫瘤を認め病理にて膵癌及び腹膜播種と最終診断された.症例2は79歳男性.高脂血症、糖尿病にて近医加療されていたが平成22年8月初旬より血糖コントロール不良黄疸を認めるようになり当院紹介となる.画像上阪実質の萎縮及び膵頭部に膵石を認め膵内胆管の狭窄を認めた画像上は膵実質及び胆管に腫瘍所見を認めず慢性膵炎による胆管狭窄と診断し胆管ステント留置とした。その後慢性膵炎として外来加療されていたが平成22年11月に胆管炎にて入院この時画像上膵頭部に明らかな腫瘍所見を認めなかったが胆管狭窄部より施行した擦過細胞診で腺癌所見を認めた.その後の精査で膵頭部癌と診断し外来化学療法の方針で一旦退院となったもののその後急速な全身状態の悪化を認め翌平成23年1月に永眠された.慢性膵炎は膵癌発生の高危険群であり中でも膵石を合併した慢性膵炎は年率0.9%の頻度で膵癌発生が見られ.慎重な経過観察が必要とされる.当2症例においては慢性膵炎の経過中に画像上での十分な悪性所見が得られていないにも関わらず比較的急速に癌死の経過を辿っており慢性膵炎後の経過観察を検討する上で示唆に富む症例と考えたので若干の考察を加え報告するt
索引用語