抄録 |
【目的】初回内視鏡における腺腫の数と大きさは癌化の重要な危険因子である.しかし大腸腺腫の数と大きさの相関関係を検討した報告はない.今回内視鏡切除した腺腫患者粘膜内癌患者についてt病変数と病変サイズには相関関係があるのか検討した.【方法】当院で内視鏡切除した大腸粘膜病変(腺腫または癌)をもつ患者943例1559病変(腺腫のみの患者706例1133病変粘膜内癌を含む患者237例426病変)を対象とした患者毎の眼病変数と最大病変サイズを抽出してその相関関係について統計学的検討を行った。【成績】腺腫のみの儲では最大病変数5個駄病変サイズ30㎜であり欄係数(r)O.108の極めて弱い正の相関関係が認められた(Pく0。005)粘膜内癌を含む患者では最大病変数7個最大病変サイズ40mmであり相関関係は認めなかった.腺腫患者を低異型度腺腫611例987病変と高異型度腺腫95例146病変に分けると前者では弱い正の相関関係があるものの(r=O.143p<O.0005)後者では相関関係はなかった次に腺腫患者を年齢性別で分けると65歳未満では弱い正の相関関係があり(r=O.189p<O.005)65歳以上ではなかった.男性では弱い正の相関関係があり(r=0128p〈O.01)女性ではなかった.病変数3個以上の多発樋麗や11㎜以上の大型灘患者に齪すれば欄関係は認めないが10mm以下の小型腺腫患者に限定すると弱い正の相関関係を指摘した(r=O.153p<O.0005).右側大腸.左側大腸などの局在による相関係数の相違は指摘できなかった.【結論】大腸腺腫粘膜内癌患者において患者毎の病変数と病変サイズの相関関係を検討すると粘膜内癌患者では相関関係を指摘できず腺腫患者でのみ弱い正の相関が示された特に低異型度腺腫と10mm以下の小型腺腫に限定するとやや強い正の相関関係が得られた.大腸粘膜病変の数とサイズの相関関係は腺腫の初期段階にのみ限って観察された. |