抄録 |
いわゆるスキルス胃癌は予後が悪く治療に難渋することが多い.しかし組織学的にsciを呈する胃癌のうち進行度の低い胃癌はそれほど予後が悪い印象はない.今回組織学的にsciである早期胃がん症例について臨床病理学的に検討した.【方法】1997-2007年の間富山大学第2外科で手術を行った437例の胃癌症例のうち組織学的にsciを呈した症例69例であった.その中で壁深達度msm症例を抽出し予後調査を行った.【結果】早期胃癌で組織学的sciを呈した症例はmsm癌それぞれ1例t8例であった(mp症例は9例).その早期がん9例のうち男性:女性は4:5であった.全症例が定型的な幽門側胃切除ないし胃全摘術が行われm癌症例以外は標準的なリンパ節郭清が行われていた.リンパ節転移は1例に認められ(mp症例では9例中4例)ly(+)は5症例(mp症例は9例中8例)組織学的UL(+)症例が5例(mp症例では9例中3例)と多く認められた.予後は良好で5年生存率は100%であった(mp癌症例も100%).術前の内視鏡検査所見は0-Ilcが7例0-IIa+Ilc 1例〔}一Ilb+Ilc・1例であった.【結語】組織学的にsciを呈した症例を検討すると早期がん状態ではそれほどの悪性度を示さず予後は良好である.この状態の癌を見逃さないことが肝要で定型的な手術をすることが大事である. |