抄録 |
【目的】非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に関する診断マーカーの探索や新たな治療法の開発が盛ん:に行われておりプロテオーム解析も有用なツールの一つである.ヒトNASHの場合複数の生活習慣病を合併している例が多く、解析結果が複雑になりゃすいことが予想され動物モデルの果たす役割は大きいと考える.今回我々はNASHのバイオマーカーの同定と病態解明を目的にNASHモデルマウス肝組織のプロテオーム解析を試みた.【方法】新生時期に少量のストレプトゾトシン(STZ)を投与したC57BL/6マウスに(A)高脂肪食9週間飼育しNASHの組織像を呈する群(B)通常食9週間飼育群(C)STZ非投与・通常食9週間飼育群の3群の肝組織からタンパク質を抽出しSDS-PAGE.により展開した.染色したゲルを画像解析ソフト(Image-J)でパターン解析を行い発現差異のあるバンドを切り出しゲル内消化によりペプチドを抽1出後MS解析(Agilent社LC-MSD6300シリーズ質:量分析計)を行ったサーチエンジン(Agilent社Specmm MM)を用いてタンパク質を同定し出力されたタンパク質情報から発現差異のある蛋白質を見出した.【結果】A群・B群・C群で単独同定されたタンパク歴数はそれぞれ59・43・93個であった.A群で単独同定されたタンパク質の中にはCK-18のようなその断片がNASHのバイオマーカーの一つとして報告されているものも含まれていた、A群において2倍以上発現が増加しているタンパク質はHYOU1BHMTなどB群との比較では63個C群との比較では25個を同定した.一方2倍以上発現が減少しているタンパク質はCps1. NNTなどB群との比較では53個C群との比較では48個を同定した.【結論】本研究により同定された候補分子には既知のNASHのバイオマーカーに加えて様々な代謝酵素が含まれていた.これらの候補分子のNASHにおける役割を現在検討している. |