セッション情報 一般演題(ポスター)ディスプレイ4

肝硬変

タイトル

P-198 肝硬変に胸水を合併した症例についての検討

演者 光井洋(東京逓信病院消化器科)
共同演者 関川憲一郎(東京逓信病院消化器科), 大久保政雄(東京逓信病院消化器科), 小林克也(東京逓信病院消化器科), 奴田絢也(東京逓信病院消化器科), 橋本直明(東京逓信病院消化器科)
抄録 【目的】肝硬変患者にはときに胸水が合併することが知られている.しかしその病態や治療法などについての報告は限られる【方法1当院に2008年1月より現在まで入院した肝硬変患者のうち治療を要するような胸水を合併した症例について検討した.1結果】肝硬変とその合併症で入院した患者は計194人でそのうち治療必要な胸水を合併した症例は9例(4.6%)であった.症例の平均年齢は68歳で男性2例女性7例.肝硬変の原因はHCV 5例HBV・PBC ・AIH疑い・NASH疑い各1例であった.胸水の性状は滲出性が2例漏出性が7例.前者(滲出性)は肝細胞癌の胸腔転移症例で.癌の初発から5年と3年10カ月の経過で治療としてTACEやRFAが複数回おこなわれていた.後者(漏出性)は狭義の肝性胸水症例でありすべて右のみか右優位であった.(漏出性)胸水出現時の血中濃度の平均はAlb 29 9/dlPT 67%T-bil 2.5 mg/dlでChild-Pugh scoreは平均9.7.肝性脳症の並存は1例のみでCreatinine濃度は平均0.7mg/d1と保たれていた.腹水出現から胸水出現までの期間は平均15カ月.7例中5例において胸水出現以前に治療を要する食道静脈瘤の存在が確認された肝細胞癌の合併は3例.全9例中2例が生存申で5例が死亡(胸水出現後05~6.5カ月).胸水の治療としては滲出性・漏出性ともに全例で利尿剤1とAlb液が投与され6例で500m1以上の穿刺排液が1回以上なされたトロッカーでの持続排液が2例でおこなわれ1例には癒着療法が試みられた.胸水出理の直前のイベントとしてはRFA治療門脈血栓乳癌手術などが認められた(結論1肝硬変の入院患者の約5%に治療が必要な胸水が合併した。漏出性の肝性胸水に加え肝細胞癌の転移による滲出性胸水も見られた.漏出性の場合は腹水が先行し右側に貯留する場合がほとんどで門脈圧充進をきたしたChild B以上の肝機能低下例に起きることが多かった.治療は困難な場合が多く頻回の穿刺排液を要する例が多かった.
索引用語