抄録 |
【背景1これまで小腸応召吻合部病変の実態や内視鏡治療の有用性は明らかになっていない.【目的】当科にて小腸術後吻合部病変に対しダブルバルーン内視鏡(DBE)を試みた症例の診断・治療成績から小腸術後吻合部病変に対するDBEの有用性を明らかにする【対象と方法】2003年12月目2010年12月越小腸術後吻合部病変に対しDBEを施行した20例20病変(男性18例女性2例平均年齢60歳)を対象にした手術理由はクローン病3例(狭窄2例穿孔1例)。交通外傷に伴う腸管損傷2例PpPD術後4例(胆管癌2例、 IPMN 2例〉腸捻転2例胃癌2例、膀胱癌2例その他5例であった.これらについて検査契機吻合部病変到達率吻合部病変の内訳治療法DBEに伴う偶発症予後を検討した.1結果1検査契機はOGIB16例(overt l3例㏄cult 3例)腸閉塞4例であった.全小腸観察を試みた11例の全小腸観察率は82%(9/11)で高度癒着のため2例は全小腸観察不可であった.他の9例は全て吻合部まで到達可能(経口的4例経肛門的7例)で吻合部病変到達率100%(20/20)であった吻合部病変の内訳は狭窄4例(クローン病3例胃癌術後空腸空腸吻合1例)潰瘍10例DieUlafoy潰瘍3例angloectasia 3例であった.治療法は外科的切除3例内視鏡治療14例経過観察3例(全て吻合部潰瘍活動性出血なし)であった.内視鏡治療の内訳は、吻合部狭窄拡張術4例(クローン病:計2回2例・計3回1例胃癌術後:計1回1例)エトキシスクレロール(AS)局注6例(全て計1回)クリッピング+AS局注4例(計2國2例計4回2例)であった偶発症は挿入および止血操作に伴うものはなく、狭窄拡張後の胆管炎1例と軽度出血1例の計2例のみでいずれも保存的に軽快した.現在までに再出血・狭窄例を認めていない.【まとめ1小腸吻合部潰瘍・狭窄に対するDBEは病変部まで安全にアプローチでき内視鏡的に拡張可能である. |