抄録 |
【背景】われわれは非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者において年齢.に伴い内臓脂肪量が増加し相対的に肝臓に脂肪が蓄積しにくくなることまた線維化の進んでいない症例でも年齢とともに肝脂肪化率は低下することをJDDW2011で報告した.今回はこれらのパラメーターも含めた多変量解析により肝脂肪化率を規定する因子について検討した.【対象と方法】最近5年聞で腹部CTを施行した未治療のNAFLD患者45名(男性24名女性21名)を対象とした.肝脂肪化率については肝臓および脾臓のCT値の比を用いてEguchiらの方法で平均肝脂肪化率を算定した.さらに脂肪定量ソフト(FatScan)を用いて謄部における皮下脂肪および内臓脂肪域の断面積(cm2)を定量した.年齢BMI皮下脂肪面積(SFA)内臓脂肪面積(VFA)血清ALT値フェリチン値ビアルロン酸値を含めて肝脂肪化率を規定する有意因子を重回帰解析で検討した.【結果】肝脂肪化率に寄与する正の因子はVFA(r・=O.45P<0。001)負の因子は年齢(r;一〇.64Pく0.㎜01)であった.ヒアルロン酸値で表された肝線維化の程度は有意な因子ではなかった.【考察】NAFLD患者では内臓脂肪量が肝脂肪化率に寄与するものの加齢とともに肝臓には脂肪が沈着しにくくなることが多変量解析でも明らかとなった.この加齢に伴う肝脂肪化率の低下は線維化の程度には有意に影響されなかった.一般にNAFLDで線維化が進み脂肪化が消失したものはburned-out・non-alcQholic steatohepatitisと呼ばれているが加齢によりNAFLDとしての病期も長くなると線維化の進行いかんにかかわらず脂肪沈着が減少する可能性が示唆されたまた肝内脂肪沈着は年齢とともに増加すると報告されている筋肉内や心臓内脂肪など他の異所性脂肪とは異なる動態をとっていると考えられる. |