抄録 |
これまで胃食道逆流症(GERD>と肥満は有意な相関があると報告されておりHampelらはメタアナリシスでBMI25~35kg/m2の過体重のGERDに対するOdds比は1.43BMI30 kg/m2を超える場合のOdds比は1.94と報告している.胃食道逆流症は、一過性の下部食道括約筋弛緩下部食道括約筋圧の低下や食道裂孔ヘルニアなどが原因となる.肥満においてはt内臓脂肪による腹腔内圧の上昇でLESの弛緩が誘発されたり裂孔ヘルニアの原因となったりするためGERDを引き起こすと考えられている.今回われわれはNAFLD患者においてGERDの症状が患者の臨床的パラメータ(BMI内臓脂肪血液生化学データなど)と関連するかどうかFrequency Scale for the Symp-toms of GERD(FSSG)を用いて検討した.当院で内臓ボリックシンドローム患者に使用する減量パスを実施している43例の脂肪肝患者を対象とした.平均年齢49.4士14.0歳男女比22対2L平均BMI29.2±4.6k9/m2平均AST36±23平均ALT48±35FSSG6.4±6.6逆流性食道炎のcut off値とされている8点以上(n=14)未満(nニ29)で2群に分けて比較すると中性脂肪(p n O.02)以外のパラメータに有意差を認めなかった.減量前後の比較が可能であった19例を対象に減量前後で比較するとBMI(p=00005)皮下脂肪(p=O.Ol)AST(p = O.002)ALT(pニ0007)そしてFSSG(p=O.02)は有意差をもって改善がみられた.また内臓脂肪の減少があった症例においては全例FSSGの改善を認めた.本検討において肥満.の改善に伴いFSSGで示す胃食道逆流症状の改善がみられることが示唆された. |